第四章 鏡の中の告白

 美術部の部室は、夕暮れ時になると特別な静けさをまとう場所でした。その日も、部員の一人、瑠璃が一人で制作活動をしていました。


「少しでもこの絵を完成させたいな…」瑠璃はそっと呟きながら、キャンバスに集中してブラシを動かしていました。部室には大きな鏡があり、瑠璃は時折、自分の描いた絵を鏡に映して見ることで、異なる視点から作品を評価していました。


突然、鏡に映った背後の空間に、まるで誰かが立っているかのような影が映り込みました。瑠璃は驚いて振り返りましたが、部室には彼女一人しかいませんでした。


「えっ、さっきまで誰もいなかったのに…」彼女は再び鏡を見ると、鏡には「好きだった」という言葉が、霧がかかったようにぼんやりと書かれていました。


「これは…どういうこと?」瑠璃は戸惑いながらも、その言葉が書かれた鏡をじっと見つめました。しかし、数秒後にはその言葉は消え、鏡は再び普通の鏡に戻りました。


 心臓が高鳴る中、瑠璃は美術部の先輩や教師にこのことを話しましたが、誰もその現象を信じることはありませんでした。「もしかして、疲れて幻覚を見たのかな…」


 しかし、瑠璃はその言葉と影が意味するものを知りたいと思い、校内の古い記録や伝説を調べ始めました。調査を進めるうちに、数十年前に同じ美術部で起こったとされる恋愛事件が浮かび上がりました。


 事件についての詳しい記録は残っていませんでしたが、瑠璃はそのことが関連しているのではないかと感じました。「もしかして、これはその時の人たちからのメッセージなのかもしれない…」


 瑠璃はさらに深く調査を進めることを決意し、学校の過去と現在をつなぐ謎を解明しようとするのでした。

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