花
郊外のはずれにある。
緑豊かな自然公園と一緒に併設された墓地。
ここに『
先程まで一緒に居た真希の手の感触を確かめながら、朝日は暗がりに落ち込むのではなく。
改めて真希さんに伝えた〝好き〟な気持ち。
その答えを
『雨はもう上がります。これが私の気持ち』
その言葉通り。
雨上がりの輝く空に心も晴れやかでいた。
しばらく墓標を眺め。
名残惜しさを残しつつその場を後にして少し。
そんな矢先、朝日を呼ぶ声がした。
(空耳か?? でもな)
改めて聞こえる声。
「
今度はちゃんと聞こえた。
聞き覚えある声だ。
(これは……)
声のする方を見る朝日。
(やっぱり
気づいたことをアピールすると小鳥遊先生は倒れた朝日を刺激しない為だろうか??
ゆっくり近づいて来る。
そして改めて……
「病院から連絡あった時は、一瞬焦りましたが、ここだろう。いや、違いますね。ここで合って欲しいと思いました。見つかってよかった」
朝日は真希との再会で忘れて居た。
学校で突発的な発作を起こして倒れたのだ。
そこから、恐らく幻の
朝日が改めて申し訳なさそうに尋ねる。
「その、職場では申し訳ございませんでした。でも何故、小鳥遊先生に連絡が?? それにここは」
朝日の言葉を遮り小鳥遊先生が伝える。
「丁度いい。タイミングですのでお伝えしますが、まず確認させて下さい」
朝日も咄嗟に答える。
「え? あ、はい」
改めて小鳥遊が尋ねる。
「
そう
それも……
朝日が改め、真剣な表情で伝える。
「はい。間違いありません。婚約してました」
……そう、婚約していたのだ。
真希に一体何が起きたのか??
小鳥遊先生はそうですかと胸を撫で下ろし。
バッグからあるものを取り出す。
“小さな箱”だ。
それを朝日に手渡す。
「……………………」
黙る朝日は手のひらに乗せられた。
“小さな箱”を開けもせず、じーと見つめる。
――ポタ……ポタ
……再び雨ではなく。
なんの感情、色んな感情が朝日の中で漏れる。
この場に小鳥遊先生がいなかったら、また真希と話をした時の様に取り乱して居ただろう。
小鳥遊先生はその様子に気をきかせて。
「……少し席を離れますので……一旦失礼します」
この場から立ち去る小鳥遊先生。
だが、小鳥遊先生も何処か目に光る物が見えた。
――ポタ……
グッと涙を堪えてる朝日は再び。
真希の墓標へ向かう。
手のひらに乗せられた。
“小さな箱”を握り締め。
向かう足は早く早くと朝日の目からの汗も激しさをます。
「ぐぅああ゙あ゙あ゙ぅぅぅぅえああ゙ぁ゙ぁ゙あ゙」
「ああ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ーーーー」
「ああぁ…………」
――ポタ
真希の墓標へ辿り着く。
「うわああ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ーーーー」
「ぐぐぅうああ゙あ゙ああああああああ」
「あ゙あ゙あぁ……はあ……はあ」
「ぶぶぁあああぉおおう……うおぅあぅ」
「ああぅ……ずっすんひっん……ずっす」
「すっ…………ひんっすっ……はあぁぁ……はあ」
「ぐすっ……すっすっ……す、はあ……んんっはあ」
「ふーはあふー……はあ……」
(こんなんじゃ、また真希さんに笑われそうだ)
先程までの幻……
否、幻では無い真希との会話、繋いだ手、香る匂い……君の仕草……全て全て思い出す。
(永遠であれと思った)
(俺も死のうと一緒に行こうとさえ)
(このひとときを大事に大事に本来ならあり得ない話だ故人と話す等、馬鹿げてる。だが、確かに一緒に居たんだ)
そして
(僕は改めて好きですと……その後言った)
朝日は涙を拭い、鼻はすすりながら口開く。
「もう一度、改めて言わせて欲しい」
朝日は再び涙をこらえながら伝える。
故人にだ。
無謀だろう??
笑うかい??
朝日は大真面目だ。
「真希が大好きだ。結婚しましょう」
あの時の真希の言葉を思い出して。
真希は言う。
『雨はもう上がります。これが私の気持ち』
真希は言う。
「その、呼び方? 名前から貴方て距離感、感じるんだがなんでだ」
真希はうすら笑みを浮かべて言う。
『内緒っ』
「ああ……ああ……」
「嫁には、なんて……言えばいいんだろうね?」
「そうだね、昔みたいに職場に迎えに行ったり。同じ職場だったあの時を思い出すよ」
「はあ……はあ、はあ」
――
―
呼吸を整える朝日。
朝日は握り締めた“小さな箱”を開ける。
予想もなにもないさ。
箱の中にあったのは小さな指輪。
ただそれだけ、だけどね?
倒れた時に見た夢と、目覚める時に見た夢。
”
(僕はなくして居たんだね。君との記憶)
眠れる真希に朝日は一言。
「僕を見つけてくれてありがとう」
夢や記憶で繋がれた手と手。
彼女にあって僕には無い。
左手薬指の小さな指輪。
(真希、ありがとう)
そう心で墓標に伝えた朝日はそっと自分の薬指に指輪をはめる。
墓標の妻へ向かって朝日は言う。
「もう、失くしたりしないよ」
妻の頬をそっと撫でる様。
妻と向かい合って
朝日は妻に言う。
「じゃあね。行ってきます」
朝日は今日あった事。
今まであった事。
これからの事。
それらを想いに馳せ。
一つの曲に乗せて歩きだす。
…………………………………………………………………………
愛することで強くなること
信じる事で乗り切れる事
君が残したモノは今も胸に
ほら輝き失わずに
幸せに思う
巡り合えた事。
〝オレの笑顔取り戻させた事〟
(ありがとう)
あふれる気持ち抱き。
進む道程。
…………………………………………………………………………
朝日は振り返り想う。
倒れた時、目覚めた時。
そして再び
想い通じたあった時。
何故ボクはココにいるんだろう?
何故キミはココにいるんだろう?
何故キミに出逢えたんだろう?
キミに出逢えた事?
〝それは運命〟
…………………………………………………………………………
朝日は再び前を向いて歩みを進めて行く。
その一音一音が一歩一歩が歌の
花びらのように散りゆく中で
夢みたいに君に出会えたキセキ。
…………………………………………………………………………
朝日は想い出しあんな事やこんな事。
真希との出会い想い思い出を胸に秘め。
愛し合ってケンカして
色んな壁二人で乗り越えて
生まれ変わっても
あなたに逢いたい。
…………………………………………………………………………
朝日は、流れる歌に乗せ。乗り越えた先へ
花びらのように散ってゆく事
この世界で全て受け入れてゆこう
君が僕に残したモノ
〝今〟という現実の宝物
(だから僕は精一杯生きて)
花になろう。
雨上がり、虹架かり
青あらしに生まれし光。
ここにゆるぎない大切な物。
気づいている〝愛する〟ということ
まだ歩けるだろう? 見えてるんだもう。
〝想い〟時を超え、永遠に響け。
君の喜び君の痛み君の全てよ。
さぁ咲き誇れもっともっともっと
…………………………………………………………………………
筆は歌詞から、朝日達に戻り。
朝日は、小鳥遊先生に気を使わせて、別々となった小鳥遊先生を探して居た。
道の小さな小石に僕らはつまずく。 おのんのんの @keysin
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