第3話

昨日のこと彼女に言うかどうか迷ったが、結局言わなかった。

言えるはずがない。


そして数日たったときのことだ。

ネット上で別の写真がバズっていた。

元の写真は例の写真だ。

違っていたのは俺と彼女のモザイクがなくなっていること。

そして女と同じように、俺と彼女が首だけになっていたことだ。

――なんだこりゃ。

すぐさま彼女に連絡した。

「おい、どういうことだ。ネットで俺たち顔出しで、首だけになっているぞ」

「私もさっき気づいたの」

「私もさっき気づいたって。お前がやったんじゃないのか」

「あんなことするわけがないじゃない」

言われてみれば、それもそうか。

では誰が。

俺は首の女が俺のパソコンの中に入っていたことを思いだした。

――いや、まさかね。いくらなんでも。

そうしているうちに、ネット上の騒ぎは想像以上となった。

翌日には俺と彼女は特定され、そのうちに勤め先や家族構成もばれてしまった。

俺たち本人はもちろんのこと、会社や実家にまで変な電話をしたり、それだけでなく実際に押しかけて来る者までが現れた。

そのため会社の上司やもちろんのこと、両親にまで文句を言われる始末となった。

「ねえ、これ、どうしよう」

彼女に泣きつかれたが、こうなってしまったらどうしようもない。

ネット相手にどうこうできるはずもない。

――なんでこんなことに……。

そんななか、目についたある書き込みが気になった。

「自分たちの顔にはモザイクかけて、幽霊の顔だけをそのままさらしたら、幽霊も気分悪いだろう」という、書き込みだ。

――そうなのか?

わからない。

わからないが、とにかく今は大変な事態だ。

俺が頭を抱えていると、壁からなにか出てきた。

それは例の女の首だった。

首は壁から抜け出すと俺を見た。

そしてにたあと笑ったのだ。



       終

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首の女 ツヨシ @kunkunkonkon

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