残念なクリスマス【実話】

Minc@Lv50の異世界転生🐎

メリークリスマス!

 若かりし頃のお話。


 趣味がダイビングでした。ブランド品やメーカー品にお金をかけずに海にお金かけてました。まぁフリーターですからね、海でも陸でもあっぷあっぷでした。


 贔屓にしてるダイビングショップでね、クリスマスイベントをするっていうので、まぁ申込いたしましたよ。もしかして!!出会いがあるかもぉ!!なんていうね淡い期待もありました。ハイ。


 クリスマス直前の土曜日、東京から伊豆へといざ!行かん!!


 冬の海…それはもう寒いのであります。当たり前。丁寧に駅まで迎えに来てくれました。


「今日は良く来てくれたね」

「いえいえ…で、今日の参加者は?」


「うん、君だけ…」

「え?」


「マジで?」

「マジで…」


 そう!なんと参加者は私だけ!!

 うわぁ!だったら来なかったよぅ。言ってよう(泣)


 まぁ着いてしまったものはしょうがない…水着に着替えてラッシュガード着て、ドライスーツを着ますわ。


 ドライスーツってなぁに?ってお方のためにご説明。

ウェットスーツは知っているよね?サーファーだったり、水族館のイルカショーのお姉さんだったり、ダイバーだったり海辺で着てるよね?ピッチピチのやつ。あれは水がダバダバ入るの。なんだったらそこで催してしまって小をいたしても首をガバッと開けて水を入れれば流れていくのよ。


 ドライスーツはね、名前の通り、中がドライ!つまり水が入らないの。だからオーダーなんだよ。レンタルは無し。人それぞれ大きさ違うもんね。水が入らないって事は中は空気なんだよね。

 それって浮力でしょ?だからいつもより多くウエイトを付けなくちゃいけないの。私みたいな下手くそは。


 ウエットスーツでもね、ウエイトは付けるのよ。だって人間浮力があるでしょ?上手な人はウエイトは減っていくんだけどね、デブで下手くそな私は他人より多く付けなきゃいけないの。分かる?


 ドライになった私は最高に重りを腰に巻き付けるのよ。それにタンクも背負うの。そりゃもぉ何の修行?ってなるわけ。しかも何かの拍子に足を上にしてごらんなさいよ。足に空気が集まって水中で逆さ吊りみたいになちゃうのよ。危険なのよ。


 でね、ダイビングってみんな船からポーンって入ると思ってるでしょ?

 甘~~~~~~い!!はちみつよりもあまぁぁぁい!!!


 波がね、打ち寄せてくる岩がごろごろとしている中、海に歩いて潜っていくのよ。

 もうね、ごろごろとした岩に足を滑らせてごらんなさいよ。コケたところに波が打ち寄せちゃ引いてそりゃもうアリエルどころの騒ぎじゃないのよ。

下手に手をついてでかくなったウニみたいな毒を持ったガンガゼなんていた日にゃ大騒ぎよ。


 悲しくもドライスーツの上にサンタの衣装を着たガイド(既婚)と一緒に冬の海へと連れられて行く私…


 冬の海の水は本当に冷たい!ドライスーツの上からも体温を奪っていく…海は赤色から見えなくなっていく。海の中ではドス黒いサンタ…それについて行くと海の中にツリーがあった!!


 おぉ!用意してくれたのか…ありがてぇ。


 しかし…冬の海。うん、夏はね、黒潮の影響で南国の魚もいるが…冬はいないのようっ!海底を歩くホウボウのヒレくらいよ!


 ふわっ!


 気を抜いた!動きすぎた!首の隙間から冷水が!!


 チョロチョロチョロッ!


 ぎぃやぁぁぁぁぁぁっ!!!冷たい!冷たい!

 早く終わってえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!



 さっきも言ったけど、終わったとて、歩いて海から上がるのよ?これは入る時よりも悲惨。なぜならもうヘロヘロだから。そして行きは波に立ち向かって入っていくけども、帰りは波に押されるの。


 だからもうコケやすいのよ。もちろん、コケる。その上に容赦なく襲い掛かる波。そして、もう髪の毛はボロボロになっているところに後ろからの波でそりゃもぉ前に髪が来るわけだから……想像つくよね。


 波の合間から這い出てくるその様子は……


 まさに妖怪!!!


 髪の毛はゴムがほどけて顔を隠すかのごとくダランと垂れヨレヨレ…フラフラとゆっくりと上がってくるのだ。もうホラーでしかないっ!


 海水から上がるともうガクガクブルブル、マスクを外したらそりゃ鼻水もびろ~~ん。


 もう色気も何もあったもんじゃねぇ。生きるか死ぬか!だ!


 ダイバーのためにお湯が張ってある。そこにドライスーツを急いで脱いでドーーーンッ!!


 ほわぁぁぁぁ。


 一気に血が暖まる。死ぬかと思った。


 うん!参加者いたとしてもそりゃ恋なんて生まれすけるか!!


 重たいドライスーツを抱えてフラフラになりながら帰路についた_( _´ω`)_ペショ




 そしてその年のクリスマス当日、当時働いていた夢の国の店のリーダーがやけにやる気満々で…

「今日は『いってらっしゃい』じゃなくて『お熱い夜を』と言ってください!」


(;゚Д゚)


 みんなが本当に言う?みたいな感じで見合ったが…

裏と通じる丸い窓からずっと見ているリーダー……もうみんな自暴自棄やけくそ


「メリークリスマスこんばんは!」

「お熱い夜を!」

 とリア充達に手を振ったのであった……_( _´ω`)_ペショ


 

数年後……

クリスマスダイビングの話をNHKの『朝イチ』の『クリスマスの思い出』というお題の時に投稿したらイノッチと有働さんに

「そうそう!こういうの求めてた!!」

と喜んでいただけて救われました。


みなさん!一人の人も、家族で過ごした方も

リア充の方も(いや、リア充はこの時間帯に読まないはず!)


メリークリスマス!!!

お熱い夜を(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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