硬く煌めく銀色の翼――一切の装飾を排した空戦ここにあり
- ★★★ Excellent!!!
空戦はお好きですか?
いわゆるドッグファイト、戦闘機が敵機の光背に食らいつき機銃弾を浴びせる、あるいは遠距離から空対空ミサイルを撃ち放すアレです。
私は空戦に限らず戦闘描写につい比喩や演出を用いたくなってしまうタイプなのですが、本作はこれでもかと装飾物を排除したような、鉱物のごとく極めて硬質の表現を用いてそれを表しています。極めつけが要所で用いられる管制官との交信で、一部を抜粋すれば以下の通り。
《Hornet 3-1, mission number 2849, single F/A-18C, position 20 miles to be east.》
(こちらホーネット3-1、ミッション番号2849、 こちらはF/A-18C一機、東20マイルで飛行中)
――――カッコ良すぎでしょうこれ。感情の描写も何も無い、ただの無線のやりとりが却って緊張感を煽るというものです。
物語の構成は1章3~4話、それぞれの女性パイロットの活躍をオムニバス形式で追うスタイルをとっていますが、実は彼女らの活躍は全て一つに繋がっています。次第に明らかになる「群体」という名の脅威、彼ら彼女らは、人類は何と戦っているのか?
Mig-29ラーストチカ、F/A-18ホーネット、F-14トムキャット、そしてF-2。マニアでなくとも名前くらいは聞いたことのある機体がこれでもかと登場、緊迫感のある空戦を繰り広げるこの作品。ミリタリー好きの方も、SF好きの方も、女性パイロットの活躍を見たい! という方も、是非ご一読くださいませ。