傾城狐格子眼鏡絵

春乃ヨイ

傾城狐格子眼鏡絵(けいせいきつねこうしめがねえ)

 江戸吉原の雪月夜、角燈かくとうゆれる見世先に、舞い散る銀華はちらちらと、塵芥のごと消えていく。籠目の内の我が身には、まこと浮世は憂きものと、八重る人垣見上げた刹那、


 目の高さに掲げた手指の間、

 剥げの目立つ赤い格子窓の先、

 長い前髪と分厚い眼鏡の向こう、

 

 幾重にも狭まった視界の中で、如何にも人の良さそうな顔に似合わぬ三白眼と目が合った。



   ◐



 初めて座敷へ上がったその姿に、なんて無粋な人なのだろうと思ったのだ。


「お、織部清一郎と申します」


 烏の濡羽のように黒い羽織を脱ぐこともせず、臥処ふしどの横に正座したまま重苦しくそう名乗るので、「朝桐でございます」と思わずあたしも鹿爪らしい顔で応えてしまった。


「馴れてらっしゃらないんですか」

「お金、ありませんし」

「お役人様なのに?」

「勘定所勤めの、ただの貧乏侍です。上役に連れられて来たんですけど、こういう場所は初めてで、でも先に帰るわけにもいかなくて、一晩お部屋を貸していただければ結構ですから……」


 下を向きながら辿々しく口を開くのを遮って、あたしはこの初心な青年を揶揄からかってみたくなった。


「奥方でもいらっしゃるの」

「いえ、生憎と独り身ですが……」

「どうせ上役の奢りなんでしょうから、折角なら太夫でもお選びになれば良かったのに」


 あたしのようなしけた部屋持ち女郎でなく、と笑うと線の細い体を申し訳なさそうに縮こませる。広くもない座敷の中にしばし沈黙が広がった後、


「何が見えるのか、聞こうと思って」


 と、唐突に織部清一郎が顔を上げた。重たい前髪に遮られ、その瞳はこちらからはよく見えない。


「え?」

「さっき張見世はりみせでこう、手を重ねて覗いていたでしょう。何をしているのだろうと気になって」


 両手の指を合わせて菱形を作るような動きに、あたしも「ああ」と答える。


「狐の窓っていう手遊びですよ。両手でそれぞれ狐を作って、左手の小指と右手の人差し指、右手の小指と左手の人差し指を合わせるんです。それで、右手の中指と薬指を左手の人差し指の上にかけて左手の親指で押さえる。左手の中指と薬指も同じように右手の人差し指の下に潜らせて親指で押さえる。そうすると、真ん中に窓ができるでしょう」


 ゆっくりと説明したはずなのに、清一郎は眉間に皺を寄せて手をこねくり回している。日ごろ算盤をいじっているのであろう指は神経質そうに細長いのに、一体この人は指先まで不器用なのだろうか。


「親指をこの下に」


 段々とじれったくなって骨ばった指先に手を重ねると、こちらが気恥ずかしくなるくらい顔を真っ赤にする。取って食いなんてしやしないのに、と口を尖らせてあたしは続けた。


「魔性の物か化生の物か正体を現わせ、と唱えながらこの窓を覗くと人に成りすました狐や妖怪の正体が見破れるという、まあ子供遊びのようなものですよ」


 くるわという場所はまじないや怪談話の類が多い。狐の窓もむかし禿かむろだった時分に姐さんに教えられて、以来手が暇になるとつい癖のようにやってしまうのだ。


「わたしは、一体何に見えましたか」


 清一郎は自分で窓を作るのは諦めたようで、あたしの方を向いてそんなことを尋ねてきた。僅かに眉尻を下げた気弱そうな表情に、あたしは思わず笑ってしまった。


「セイさんは化かすよりも化かされる方でしょうから、見破る術を覚えた方が良いかもしれませんね」


如何にも善良そうなこの男が魔物なのだとしたら、地獄も案外面白いかもしれないと思ってしまったからだ。



   ◓



 子供騙しのまじないを信じているわけではなかった。


 あたしに狐の窓を教えてくれた件の姐さんは間夫まぶに騙されて少ない稼ぎを巻き上げられた挙句首を吊って死んでしまったのだから、その時点で効き目など無いようなものだった。

 それでも、うそで塗り固められたこの場所で、まことを見つけることができるのならと、ついそう思ってしまったのだろう。


 その日も出来心で、むかし姐さんが使っていたまじないを試してみる気になった。帰り際に清一郎が履いていた擦り減った草履を見ると、廓に来る金がないと言っていたのも嘘ではないのだろう。貧乏客などお呼びでないはずなのに、仮初人かりそめびとにしてしまうのも惜しいと思ってしまったのだ。


 昼見世の終わった昼七ツ(午後二時頃)に往来に出て、四つ角まで歩く。顔はよく思い出せなかったので、見慣れない分厚い丸眼鏡を頭に思い浮かべて額を三回叩く。後は決して振り返らず、遠回りをして見世まで帰ることが出来れば成就するのだが、


「朝桐さん」


 突然後ろから掛けられたその声に、思わず後ろを向いてしまった。薄鼠の着流しに黒い羽織を掛けて、頭の上で一つにくくった髪が風になびいている。凍てつくように寒い曇天の下を長く歩いて来たのか、鼻の先だけが赤い。


 来てほしいと思う客を呼び寄せるまじない。本当に霊験があったのかと思いかけて、途中で邪魔されたのだから効果も何もない、まやかしなのだと思い直す。そもそも、このまじないは恋焦がれる相手のためのものなのだから、やっぱりあたしとセイさんには当てはまらない。


「どうなすったんです」

「この前、船酔いしないためのおまじないを教えてもらったでしょう。おかげ様で付き合いで屋形船に乗っても無事だったので、御礼を言おうと思って」


 そんなことを言われると、信じてもいないまじないも捨てたものではないなと思ってしまって、自分でも現金なものだと可笑しくなった。

 


 薄暗い座敷の中、清一郎は座布団に正座したまま黙って茶を啜っていた。下戸だとか言って酒を嗜みもしないなんて、いよいよ何を楽しみに来たんだか分からない。


「何だってもう一度座敷に上がろうなんて思ったんですか」

「す、すみません」


 迷惑だったでしょうか、と恐縮そうな顔を浮かべる彼にあたしは答える。


「セイさん、こういうお店苦手でしょう。それに、同じお金を払うならもっと器量よしも気立てよしも――」

「朝桐さんだけだったんです。わたしの話、笑って聞いてくれるの」


 あたしの言葉を遮るようにして、清一郎が身を乗り出した。ぱちくりと眼を瞬かせると、手をあたふたとさせながら慌てて離れていく。


「わたし喋るのが苦手で、だけど貴女の前だと気詰まりしないで話せる」


 何て世間知らずなんだろうと呆れたくなった。女郎にとっちゃ世間話なんざ朝飯前で、手練手管のうちにも入らない。そんなことで一々入れあげていちゃあ身がもたないのに、騙されやすいにもほどがある。


「朝桐さんの方こそ、わたしみたいな客だと楽しくないかもしれませんけど……」


 などと口ごもりながら続ける清一郎の顔に手を伸ばし、あたしは眼鏡をひょいと外した。「あ」という声を無視して、円い硝子に糸を括りつけただけのそれを自分の目に当ててみる。途端に蝋を溶かしたように視界が歪み、慌てて眼鏡を遠ざけた。


「高いんじゃありません?」

「これが無いと、何も見えないので」


 眼鏡を外した清一郎はあたしよりも幼く見えた。切り揃えられた長い前髪を手で退けると、烏羽色をした杏仁型の瞳がこちらを覗く。


「生まれつき吊り目で、隠してないと人相が悪く見えるんです」


 本人はそう言うものの、長い睫毛とか、すっと通った鼻筋とか、日に焼けていない白い肌とか、歌舞伎絵に描かれる役者のようだとまではいかずとも、存外に整った顔をしているのだなと思った。きっと、そんなことも周りの人間は誰一人知らないのだろう。


 あたしがふふと笑うと、眼鏡を失った清一郎は困ったような表情を浮かべて指を組み合わせた。いつの間に会得していたのか、あたしが作るのよりも上手くできた窓の間を覗く。


 こちらを見透かすような瞳に直に見つめられ、目が離せなくなった。


 鏡に向かって狐の窓をしてはいけないと、姐さんの忠告を今更思い出す。

 あたしらみたいな人間は、正気に戻ったら終わりなのだ。自分の本当の姿なんて見たくもないし、人に見せたくもない。こちらから窓を覗いても、覗かれる覚悟なんててんでなかったのに。


 汚れを知らない澄んだ瞳に真っ直ぐに見つめられると、何もかも曝け出しているようで居心地が悪い。あたしなんて、ぼやけた視界で見るくらいが丁度良いのだ。


「確かに、こうして見るとよく見えるかもしれません」

「妖狐でも見えますか」


 冗談めかしてそう言うと、


「わたしは太公望たいこうぼうでも安倍泰成あべのやすなりでもありませんから」


 なんて、生真面目なセイさんには珍しく冗談を言ってから、


「朝桐さんは綺麗ですね」


 とくしゃりと笑った。笑うとこ初めて見たかも、と思いながら襟元をぐいと掴む。羽織の胸元にそっと手を這わせてから唇を離すと、初めて会った日のように真っ赤な顔が目の前にあった。

 


   ◑



 障子窓から漏れる月華に照らされながら、口に髪紐を咥えて長い髪を結う彼の横顔を見る。吉原の華である花魁道中も終わった頃で、冷えた風を頬に当てようとあたしは肘掛欄干から顔を出した。


「あそこ、人だかりができていますね」


 後ろからセイさんが指を指す。大門から続く中之町にはぼんやりと灯が点っているのが見え、遠く喧噪が風に乗って聞こえて来た。


「花見をしてるんですよ」

「桜の木なんて生えてなかったでしょう」


 と首を傾げる彼の方を向き直ってあたしは答える。


「吉原の桜はね、花が咲く頃になると山から根が付いたまま持って来るんです。それを大通り沿いに植えて、夜の間は雪洞ぼんぼりを灯して夜桜を楽しむ。花が散ったら全て引っこ抜いてしまいますから、春のこの頃にしか見れないんですよ」

「それはまた豪勢ですね」


 感心したようにそう呟いてから、セイさんは眩しそうに眼鏡の奥の眼を細めた。


「わたしなんかは、勿体ないような気もしてしまいますけど」

「花の盛りを過ぎたなら、潔く落ちるのが江戸の華ってもんです」

「朝桐さんは江戸ッ子ですか」


 衣文掛けに手を伸ばして羽織に袖を通すその後ろ姿に、少し痩せたかもしれない、おまんまちゃんと食べてるのかなと、世話女房のようなことを思う。


「廓なまりで話さないでしょう」

「わっちも習いには習いんしたけど、これじゃあ口を開くにも一苦労でありんすから」


 あたしがそう言うと、セイさんはくすりと笑った。


「普段の話し方の方が竹を割ったようで好きですよ」


 素面でそんなことを言うので何だかこちらが気恥ずかしくなって、ぐいと黒羽織の裾を引っ張る。その拍子に、袖先から何かが滑り落ちて畳の上に跳ねた。


「あ」


 慌てて腰を屈めたセイさんの手を退かして拾い上げる。板の部分に桜の花が一輪彫ってある、どう見ても女物の小ぶりの木櫛だった。


「これ、どなたに?」


 良い人がいるなんて隅に置けないじゃありませんかとあたしが言う前に、「朝桐さんしかいませんよ」と僅かに低い声が返って来る。


「じゃあどうして隠そうとしたんです」

「その、出先で見つけて思わず買ってしまったんですけど、本当に安物ですから恥ずかしくなって……。それに、朝桐さん語呂とか気にする方でしょう。櫛って、苦と死に通ずるとも言いますし、縁起が悪いかなと思って」


 セイさんはうだうだと言葉を紡ぐ。苦楽を共にして死ぬまで添い遂げようだなんて、そんな小粋な口説き文句もこの人は知らないんだろうなと思って、あたしは櫛を懐に仕舞い込んだ。


「拾ったんですから、もうあたしのもんですよ」


 そういうと、彼は観念したように笑って頷いた。



   ◒



 春の嵐に吉原の桜が散り始める頃になって、セイさんは見世に来なくなった。


 肘掛欄干にもたれかかって、ちゅうちゅうと鼠の鳴き真似をしてみても、一向に姿を現さない。まじないなんて、やっぱり嘘だったんだ。それか、元々どうしようもなく運の悪かったあたしは、ついにそのなけなしまで使い切ってしまったに違いない。 


 随分と長く思える間夜を時に一人で過ごした末に、何の前触れもなく現れた彼はいつも見慣れた眼鏡を掛けていなかった。目を凝らそうと無理に細めるものだから、虫の一匹も殺せないくせして、人斬りのような目つきになっている。


「馬鹿ですね。眼鏡、売ってしまったんですか」

「最後に貴女に会いたかったから」


 最後、という言葉に覚悟していたはずの心の臓が冷える。じっと畳を見つめる思いつめた男の顔も、廓では珍しいものでもない。


「辻斬りでもしましたか」

「いいえ」

「それじゃ勘定所の金にでも手を付けたとか」

「そんな度胸があれば良かったんですけどね」


 なんて言って、セイさんは情けなく笑う。それでもあたしは、呆れるくらいに善人なこの人が、そんなところまで思い至っていたことに何でか泣きたい気分になった。


「わたしの長屋、浅草にあるんです」


 沈黙を破るように、ぽつりとセイさんが呟く。


「ええ」

「春になると浅草寺に山桜が咲いて、花見をしながら門前で食べる桜もちが美味しいんです」

「ええ」

「今頃は散った桜が隅田川に浮かんで、一面の薄紅色が敷物のようにどこまでも続いて、それは綺麗なんです」

「……ええ」

「一緒に、見に行きませんか」


 眼鏡がないと何も見えないくせに、とか、そもそもあたしここから出られないんですけど、とか、言いたいことはたくさんあったけれど、これが奥手で不器用な彼の一世一代の言葉なのだと分かってしまったから、


「ええ」


 と、あたしは答えてしまったのだ。



   ◐



 「クソ女郎」だとか「殺すぞ」だとか、穏やかでない言葉をぼんやりと聞きながら側溝の中でうずくまる。春とはいっても冷水を掛けられて濡れた襦袢一枚に夜気は凍えるように冷たい。

 本気で殺すつもりか、と思ってから、足抜けは重罪なのだからそれも当然かと思い直す。太夫なんかは折檻で済むかもしれないが、あたしには生かして客を取らせるだけの価値もない。


「相手は織部か」

「あんな野暮な貧乏侍、惚れる女がどこにいますか」


 ふんと唾を吐きかけると、ぐいと髪を引っ張られてまげに挿していた櫛が溝に落ちた。


 ここから抜け出すなど、どだい無理な話だったのだ。妙な様子に感づいた禿が楼主に告げ口でもしたのか、拍子抜けするくらいにあっさりとあたしは見つかった。

 それでも、廓を出る前に捕まった分まだあたしにも運は残っていたのだろう。セイさんは腐ってもお役人だから、現場を押さえられていない以上わざわざ追っかけて手を出しはしないはずだ。


「てめェに幾らかかってると思ってんだ」


 下駄の底でもう一度強く踏みつけられながら、ごうつくじじい、と胸の内で毒づく。大方、こいつがあたしの揚代を吹っ掛けでもしていたに違いない。人を疑うことを知らないセイさんは見合わない金を払い続けて、今も中之町の桜の下であたしを待っている。


 セイさんはきっと、いっつも真面目に算盤弾いて、こつこつお金も貯めて、誰よりもお人よしで、お天道様に顔向けできないことなんてしたことがないのだろう。そんな人が、あたしのせいで足を踏み外しかけた。だから、それこそ妲己とか玉藻の前とか、そういった類の悪女に騙されたのだと諦めて、あたしのことなんて忘れてしまえば良い。


 碌に返事もしないあたしの態度に業を煮やしたのか、楼主が近くに置かれていた角材を振り上げたのを見て、あ、まずいかもと思う。


 思えばあの時、狐の窓を覗いた時にあたしは定めに魅入られていたのかもしれない。この地獄で、光なんて見つけてはいけなかったのに。それでもそんなこと全部どうでも良くなるくらい、あたしは彼に惚れていた。


 本当に、思い返せばつくづくクソみたいな人生だったけれど、


「最後に一場の春夢くらいは見させてもらったかな」


 大丈夫。道端に転がる骸なんて、眼鏡のないセイさんにはよく見えないだろうから。


 ぎゅっと瞳を閉じた次の瞬間、重たい音が頭に響いた。



   ●



 ちゃりん、と金盥の中に銭を投げ入れる。屋台の前に一列に並んだ子供たちの間に年甲斐もなく割り入って、腰を屈めて覗き穴からレンズを覗く。からくり屋の店主が糸を引くと目の前に広がる絵が入れ替わった。色鮮やかな押絵は浄瑠璃の心中ものでも描いているのだろう。


 キネマが入ってからは姿を消しつつある覗きからくりも、浅草の裏路地には未だに残っている。折しも街は桜の季節で、浅草十二階には隅田川に浮かんだ花筏を見ようと物見遊山の客が押し寄せていた。

 せっかく路面電車に乗って一人浅草までやって来たというのに、ここまで来て覗きからくりなんて見ている自分が可笑しかった。どういうわけか、あたしはこの子供騙しみたいな玩具が昔から好きなのだ。


 店主の話し文句が終わり、最後にカタンと音がして吉原の桜並木が眼前に広がった。夢中でレンズにかぶりついていた子供たちが一斉に顔を離し、次の演目をねだる。それでも何故だか偽の桜から目が離せなくて、早く退けろと後ろから着物の袖を引っ張る子供を放って中を覗いていたその時だった。


「何が見えるんですか?」


 若い男の声がした。ゆっくりとレンズから目を外し、後ろを振り返り、そして吊り目がちの烏羽色の瞳と目が合った。



   ○



「朝桐さん、いらっしゃいますか」


 江戸吉原の大通りを少し分け入った中見世の前、花街には似つかわしくない黒羽織の男が立っていた。


「さあね」


 素っ気なく答えた楼主の態度にも気が付かないのか、男は重ねて問いかける。


「どこにいらっしゃるでしょうか」

「あんたもしつこいよ」


 邪険に肩口を突かれ、その場に尻もちをつく。それでもなお口を開きかけてから、男は横の側溝に目をやった。血に濡れた桜の木櫛が一つ。極限まで細められた瞳が大きく見開かれた。


 この手の男は少し脅してやれば十分だ。もとより、女を攫うだけの度胸もなかっただろうに。身動き一つしない男を放って見世へと踵を返した楼主の背中に、困り切ったような声が聞こえた。


「朝桐さん、後世なんて信じてるかな」


 異変に気付いた若い衆が手を伸ばす。


 それより一瞬早く、腰に差したまま無用の長物になっていた脇差が男の首筋に引かれた。

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