第53話 「甲野アスミチ」ってどんな人?
アスミチ「はやく、はやくぼくの番を消化してくれないと困るよ……」
パルミ「どったん、アスっち? なんかソワソワ、あすっちソワカしてない?」
アスミチ「わっ、なにパルミ、なにもアビラウンケンソワカしてないよ?!」
バノ「大日如来の真言の引用だね、アスミチ。ただしくは『オン アビラウンケン バサラ ダトバン』のような発音になるようだ。ソワカまたはソバカは『祝福あれ』のような意味」
ウイン「真言、マントラっていうんだっけ」
アスミチ「マントラを唱えることが祈ったり心が鎮まるはたらきになるんだっていうよね」
トキト「それでソワソワしていたアスミチがアンビシャスしたわけか」
バノ「アビラウンケンだけどね、トキト。というわけでお題『甲野アスミチってどんな人?』の回だよ」
カヒ「アスミチかあ。みんな知っているようにテレビ特撮番組『アルティメット人間』の大ファンだよね」
トキト「シリーズの録画や動画をくり返し見てるんだよな」
ウイン「それで怪獣の元ネタになった動植物に興味が広がって、図鑑をたくさん読みこんだんだよね」
パルミ「んで、記憶力ばっちし、漢字とかもよく読める今のアスっちができたわけだにぇー」
トキト「メカも好きなんだよな。ベルサームの甲冑ゴーレムの操縦席を作るとき、テレビで見たメカを思い出して作ったんだったろ」
アスミチ「そ、そうだね。ぼくは操縦席って言ったらそれしか思い浮かばなかったよ」
ウイン「それだけじゃないよ。このバニアアースに来てからは、魔法にもすっごく興味を示しているでしょ、アスミチ」
アスミチ「うん。魔法は……すごいや。この世界にいるかぎりは、いっぱい学んで身につけたいって思ってる」
バノ「やる気のある仲間にめぐまれて、私もうれしいよ。教えがいがあるってものだ」
パルミ「んでもさー、バノっちの魔法ってちょっと特殊なとこ、あんじゃん?」
バノ「そうだったかな」
ウイン「あるよー、パルミが言いたいのは、その本のことでしょう?」
パルミ「そそ。ニカクニメン」
アスミチ「今のはわざと間違えて紫革紙面をニカクニメンって言ったよね!?」
パルミ「にゃっ、ちょっとわざとらしかったかにゃー」
バノ「二角しかないと一次元になってしまうな」
パルミ「イッカクイッテンまで減らせばもっとおもしろかったかも?」
トキト「それ、もう絶対に言い間違えたって言い張れないレベルの違いだな」
アスミチ「たしかにバノの魔法は紫革紙面からものを取り出して活用するものもあるよね」
バノ「ああ、折りたたみ風呂敷の機能があるからね。君たちも今やフロシキ持ちなのだから、理屈の上では同じことができるよ」
トキト「魔剣を入れておけば魔剣を取り出して、『俺は誰にも』」
カヒ「負けん、って予想が簡単にできすぎるよ、トキトー」
トキト「しまった。カヒにまで読まれた」
バノ「魔剣のほうは、べつに手に入れるしかないが……これはジュインディ三爵から王が召し上げた『血をすすり肉を食らうソード』だけどね……王が私にくださったよ(すらり)」
ウイン「わ、わわわ、魔剣が現れた! 魔剣……それが魔剣なんだねー」
パルミ「そういや、アスっちも、地球から持ってきたノートにメモを書いたりしてるじゃん? あれがバノっちの紫革紙面みたいになっていくんじゃね?」
カヒ「うん。なりそう。アスミチが『ぼくのすべてが書かれた本だ!』って取り出して使いそう」
トキト「ぶは、その言い方だとアスミチの恥ずかしい日記帳みたいに聞こえる……ぼくのすべてが書かれた……って……」
パルミ「カヒっちのギャグの切れが鋭くなってきてる……」
ウイン「バノちゃんみたいに、アスミチのノートもきれいな革張りの本にしてもらうのもいいかもしれないよね。世界にひとつだけのマジックアイテム。いいな、そういうの」
アスミチ「うん。ぼくも、紫革紙面にはとても及ばなくても、本の形にするのはいいなとぼんやり思っているよ。そのうち大きな町でブックカバーみたいなのが手に入らないかと考えることがある」
トキト「それ、できたらいいな。大きな町だって、ちょっとは立ち寄るチャンス、あるだろ」
ウイン「ベルサームやラダパスホルンから遠ければ、大きな町も危険は下がるよね。そしたらチャンス、あるかもしれないね」
バノ「魔力付与が得意な魔法使いがいれば、機能を組み込んでもらえるだろう。そうだね、センドオークスか、ドワーフの国ドナビナグに到達できたら、大きな町に立ち寄っていいかもしれないね」
アスミチ「ほんとっ!? じゃあ、バノの紫革紙面とは違う色で……うん、じつはぼくちょっと考えている名前があるし、それを目標にしたいな」
パルミ「あたしの考えたイッカクイッテンちゅー名前を使ってもいいよん、アスっち」
カヒ「パルミが頼んでもアスミチは使わないんじゃないかな、その名前。面積もなくなっちゃうでしょ。ただの点だもん」
トキト「本どころか紙ですらねーじゃん、イッカクイッテン」
ウイン「きっと本編のどこかで、アスミチが考えたアスミチだけの本の名前が出てくるんだろうね。私は楽しみにしているよ」
パルミ「あ、パルミわかったかもー。たぶんゴカク……」
アスミチ「またふざけた名前を言うつもりでしょ、パルミ」(ジト目)
パルミ「ゴメン、アスっち」
トキト「ぶは、流れるようなオチが決まった!」
ハートタマ「なんだ、今の。パルミは謝っただけじゃねーのか」
カヒ「たぶん紫革紙面の元になった言葉、四角四面から、パルミは数字を増やして五角五面って言おうとしたんだと思うよ、ハートタマ」
ハートタマ「ん? あ、それで、謝った台詞の『ゴメン』も『五面』と同じだったってわけか」
ドン「そうなんだねー。ボク、また地球の言葉……日本語、だっけ、覚えたよ!」
バノ「五角五面となづけても、私は構わないよ、アスミチ」
アスミチ「真面目に返さないでよ、バノ。そんな名前にしないよ。バノの紫革紙面より数字を増やすなんて、とんでもないよ」
パルミ「あー、そうだよねえ。アスっちはバノっちをすごくリトマス紙してんだもんね」
トキト「パルミ、またわざと間違えてないか? リスペクトだよな」
パルミ「いやーリスペクトって言葉が出てこなかったから、間違いっちゅーか、てきとー、かにゃ?」
アスミチ「うん、それでこそいつものパルミ」
カヒ「そうだよね」
ウイン「まだ出ていない数字を使うと、三角三面……不可能では、ないよね……」
アスミチ「ウインまで乗らないでよー! 角も面もつかないから」
パルミ「そう言われるとかえって気になっちゃうにゃー! ヒントちょうだい、アスっち」
トキト「俺もクイズに参加したい。ヒント、くれ、アスミチ」
アスミチ「クイズじゃないのにな……ヒントだけだよ?」
バノ「私も、当ててみたい」
カヒ「わ、バノが参戦したら当てちゃいそう」
ウイン「バノちゃんが参加するなら、私もチャレンジしてみようかなー」
アスミチ「なんだか大きくなってきたよ、話が。えっとさ、バノはぼくが記憶力がいいとか、ものをよく知っているとかほめてくれるんだ」
バノ「ああ、そのとおりだと思っているよ」
アスミチ「うん、ありがとう。それは嬉しいことだけどね。でもぼくの中では、まだまだそんなに自慢できるほどじゃないんだ。むしろ、なにも知らない、これからいっぱい知らなくちゃいけない、っていう気持ちがすごく強い」
パルミ「アスっち、しっかり考えてて偉いね……パルミ、応援するからね」
アスミチ「ありがとう。だから、このノートを本にするとしたら、そんな気持ちが名前にできたらいいなって……わっ、なに、バノ、なんで手を突き出してきたの!?」
バノ「アスミチの真似っ! はいはい、私はわかった気がする! 言っていいでしょ、ね、みんな」
トキト「おお、完全にアスミチだ」
ウイン「え、でもちょっとそれ、アスミチの話の半分くらいはバノちゃんにほめられたことだったじゃない? バノちゃんに有利すぎるよ」
カヒ「だって。どう、バノ?」
バノ「むむー……カヒから見ても、私が有利すぎるように見えるかい?」
カヒ「そうだね、見えるといえば見える。バノ、きっとアスミチに対して、『四角四面』みたいな言い方を思い浮かべたこと、あるんでしょ」
パルミ「おおっ、カヒっち、鋭い! 角とか面とか使わないなら、紫革紙面っぽい四字熟語かあ、ありそうーーーーー!」
アスミチ「うん。当たってる。だからバノは正解してる」
バノ「あれっ!? まだ言ってないよ」
トキト「アスミチ本人がバノなら当たるって思ったんだから、正解してるだろ」
ウイン「はいは、バノちゃん、手は下ろしてね」(すとん)
バノ「ううう、残念。でもみんなより多少は有利だったか。私は実際にアスミチに『(伏せ字)(伏せ字)(伏せ字)(伏せ字)』と言いたかったことがあったからね」
カヒ「口で四回『伏せ字』って言った……」
パルミ「やっぱりあるんじゃーん。それ最初から正解知ってるのと同じじゃね?」
バノ「そうだったかもね。では、正解はいつか本編でアスミチが本を作るときに、ということだね」
アスミチ「うん、そうなるね。作るときがくるといいな」
カヒ「そしたら、アスミチもバノみたいに魔剣を出したから負けん! って言ったり、
バノ「できるだろうね。アスミチも私より初期の魔力の値はかなり高い。私よりすごい氷紋水蛇を使うようになるだろう」
アスミチ「え、えええーっ。魔力量くらいでバノに追いつける気がしないけど……うん、でもがんばる」
ウイン「そうだよ。バノちゃんに追いつき、追い越せ。そしたらアスミチの本は『
アスミチ「あはは。ウインが当てに来た。それはいい名前だけど、残念ながらぼくの考えた名前じゃないね」
パルミ「シュツランのホマレって、なんだかお米の品種みたいじゃん。はらへったー」
トキト「俺もパルミとおなじこと思った。シュツランのホマレ。(女性ナレーター口調)あたらしいお米ができました。ふるさとの味、シュツランのホマレ。召し上がれ♪」
カヒ「ぷっ。すごくくねくねしながら言ってるー。トキト、お笑いに向いてるかも」
トキト「えっ、そうかな。でももうネタ切れだ。お笑い、おしまい、どっとはらい」
パルミ「おあとがおいしいようで……シュツランのホマレだけに」
ウイン「それ、お米の品種じゃないからね! 弟子が師匠を超えるという意味だから」
トキト「おお、勉強になったぜ」
パルミ「じゃあアスっちの本はシュッケツのタリョウで決まりだねぃ」
アスミチ「またわざと言ってるよね、パルミ。ま、おもしろいからいいけど。そしてその名前じゃないけど」
パルミ「うんうん。そろそろ今回も終わりだけど、『がぶり、ぎゃん』の話にはならなくてよかったね、アスっち」
カヒ「なに? がぶり、ぎゃんって」
パルミ「にしし、パルミはマスター(作者)の書いているサブタイトルを見てきたんでわかるんだじぇー」
バノ「あと数話で『がぶり、ぎゃん』のようだね。これ、いったいなんの意味だ?」
パルミ「じつはあたしも、アスっちに関係しているちょっとしたターニングポイントってことしか知らされてないんよね」
アスミチ「えっ」
ウイン「
トキト「いや、特別に専用モビルスーツを作ってもらった話かも……」
カヒ「モビルスーツは出てきません」
アスミチ「なんでも、いいじゃないか。とりあえず数話先まで、話ができているってことだね」
バノ「ここだけの話、あと150話くらいはできているようだよ」
パルミ「すごいじゃん」
アスミチ「ってことは、バザールのエピソードで、パルミにも心のターニングポイントがちゃんと待ってるってことだよね」
パルミ「にゃん!? それどこ情報? 作者情報? それずるいー」
ウイン「こらー、先にマスター(作者)情報を持ち出したのはパルミでしょ。文句言わない。あと、たぶんアスミチも内容までは知らないと思うから、安心していいと思う」
パルミ「そうにゃん!? アスっち」
アスミチ「うん」
トキト「今回、意外にアスミチの未来がちょっと見えた感じがするよな」
カヒ「そうだよね。アスミチが本を作る。その名前は四字熟語になっている。で、いいんだよね?」
バノ「ああ。紫革紙面みたいな感じの名前をアスミチはもう考えているそうだ。さすが本や図鑑を読んで言葉を知っているアスミチだな」
ウイン「ほら、ちゃんとバノちゃんは何度もアスミチを認めてるって言ってるよ」
パルミ「そそ。たぶんいちばん多くほめられてるのがアスっちっしょ」
ハートタマ「ああ、オイラもそんな気がするぜ。アスミチ、よかったな」
ドン「よかったね、アスミチお兄ちゃん」
アスミチ「ひゃ、ひゃああ、照れるから、それくらいにしてよー」
トキト「こんな感じで、一人ひとりが話題になる回がこれからもあんの?」
バノ「いや、わからないな。ほんとうに予定もなにもなく、万事のんびり、ジュークボックスの音楽のようにそこにあるだけの雑談なんだよ」
アスミチ「雑談だから、ちょっと助かったかな、って思っているぼくがいるよ」
(つづく)
バンジー・ノンビリー・ジュークボックス (ポンロボエッセイ) 紅戸ベニ @cogitatio
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