第2話
言わぬが花
沈黙は金
という言葉がある
思春期の私は「金」であった
ほとんど喋らなかった
反対に幼年期の私は
銀であった
のべつによく喋っていた
お喋りね、と女の子に言われた
青年期の銀を経て
最近はまた
金に戻りつつある
なんともせわしない
要するに
言葉の空しさを感じている間は
寡黙になる
ということらしい
困ったもんだ
文筆をもてあそぶ身が
言葉が空しいとは
可笑しな話だ
しかし
分かってくれる人は多いと思う
言葉は空しく
そして哀しい
この哀しさは例えるなら
人間という存在そのもの
の哀しさに似ている
不在と選ぶところはない
言わぬが花―――
その矛盾を
どう生きるかが問題だ
(了)
知らぬが仏 言わぬが花 ヤマシタ アキヒロ @09063499480
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