ウチに兎が来ました。
よくできた兎です。
できそこないの詩を一つ。
兎であること
先日
うちに兎が来た
名前をバロンと言う
言葉はしゃべらない
茶色い毛並みの
雑種のオスだ
耳がよく動く
鼻もよく動く
元の飼い主が
可愛がっていたので
初めからバロンは
人間が好き
顔を近づけると
鼻をヒクヒク
名前を呼ぶと
耳をクルクル
兎は初めてだが
可愛いもんだ
憎らしい要素が
なにもない
私はつねづね
人間は動物と
横並びだと
思っていた
むしろ動物のほうが
人間より
地球にやさしいとさえ
思っていた
ならばバロンと
入れ替わってみたら
どうだろう……
想像してみる
言葉はしゃべれないが
とくに問題はない
エサはくれるので
楽チンである
トイレはそこいらに
やりっ放しだが
恥ずかしくはない
(恥ずかしがる兎なんていない)
本は読めないが
読む必要もない
悩みごとも
明日に持ち越さない
結論―――
私はバロンと
入れ替わってもよい
もしバロンさえ
嫌でなければ
(了)