人間の「無邪気」性。
子供や、定年退職後の老人、ここに無邪気さを認めるのは、どうやら世間的には妥当らしい。
が、どうも大人にはそれがほとんど許されないという暗黙の風潮があるように思われる。
(許されない、とまでは言わないまでも、「無邪気」な大人はしばしば異常者と看做されがちである。この悪習は、「大人の事情」とか、そんな言葉で一蹴される)
昨日まで生徒、学生だったのが、ある日突然「社会人」という名の、場合によっては労働の奴隷となりかねない謎の生命体に変化《へんげ》する。
平日は身に鞭を打って(あるいは他者に鞭を打たれ)働け、土日になってら休んでいいぞ。
そう言わんばかりに、社会人(生産・現役世代とでも呼ぶべきか)の無邪気性は抑圧され、邪気が溜まり、その邪気が不幸の連鎖となりかねないのではなかろうか。
大人だって、社会人だって遊んでいい、無邪気になろう、そんな視点を思い出させてくれる、作品です。