最終話 悪役王子、まだ破滅しない
結局、うねうねの正体は分からなかった。
パーティー以降、たまにお城でうねうねが生えている人を見かけるので定期的に引っこ抜いている。
新手の感染症だったら嫌だしね。
鏡を見たら俺の頭にも生えていたので、まじで何かヤバい病気だと思う。
ああ、そうそう。
パーティーで問題を起こした例の聖騎士に関してだが、本人たちは自分が何をしたのか、何も覚えていなかった。
俺の知る限り、『ロイヤルクエスト』に今回のようなストーリーはなかったはず。
もしかしたら俺が財布に余裕がなくて変えなかった『ロイヤルクエスト裏設定資料集』に何か書いてあったのかも知れないが……。
まじで何だったんだろうか。
父上はブチギレて聖国に抗議しまくってるし、相手側もいまいち状況を飲み込めていない様子。
まあ、俺には関係のない話だ。
「できた!! 四◯元ポケットぉ!!」
「エインス様、それはなんです?」
「フッフッフッ、これは空間拡張機能を有してるんだ。中に大量のモノを収納できる!!」
これで片付けは適当にこの中へモノを放り込むだけで済む。
アイラに部屋を汚してねちねち言われる心配もない。
我ながら素晴らしい出来だ。
「ところでエインス様。先ほどテリウス殿下がエインス様を探しておりましたよ」
「え? テリウス兄上が?」
「はい」
俺は首を傾げる。
テリウスというのは俺の兄で、ベルエールの弟に当たる人物だ。
つまり、『ロイヤルクエスト』の主人公であり第二王子だな。
「しきりにエインス様を気にしておられました。何か変わった様子はないか、困っていることはないかと」
「うーん、何だろ? まあ、今度会ったら話してみる」
「それがよろしいかと」
「それより次は何作ろうかな? いや、その前に四次元ポ◯ットをベルエール兄上に売り付けて資金を稼がなきゃか?」
まだまだ俺の目指す快適な生活には程遠い。
いつ魔王に身体を乗っ取られてもいいように、未練を残さないよう生きねば。
そう思って俺は常に行動していた。
しかし、いつまで経っても魔王が現れる気配はなく、次第にシナリオ開始日が近づいてきた。
未だ魔王は現れず。
たまに変なうねうねが色々な人から生えているので引っこ抜く。
もうそろそろ魔王に乗っ取られても……。
ちらっとそう考えるが、やはりそういう気配はないので俺は今日も便利な現代品をクラフトスキルで再現する。
「エインス様」
「ん? なんだ、アイラ?」
「このような毎日が、ずっと続くとよいですね」
「? ああ、そうだな」
まだまだ作りたいものは山ほどある。
さて、次は何を作ろうかな?
完。
―――――――――――――――――――――
あとがき
ワンポイント小話
作者「こういう雑な終わらせ方どう思うか正直に教えてください。今後の参考にします」
エ「じゃーなー」
「ゲーム主人公一切登場してなくて笑う」「絶対にうねうねが原因やん……」「ええんじゃない?」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
悪役王子に転生したので破滅回避は諦めて短い余生を快適に暮らしたい。~不便な生活は嫌なのでクラフトスキルを極めて現代の便利アイテム作ってたら、なかなか破滅しなくなった~ ナガワ ヒイロ @igana0510
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