005:プロローグ 地下迷宮//aid point1
神聖歴二百年代、約800年前、古代帝国時代末期は「暗黒時代」と言われ、帝国全域で内乱、反乱が頻発していた。
古代帝国の有力者達は極秘の軍事基地や魔術の研究施設として地下深く、大小様々な秘密施設、「
暗黒時代、地下深くに軍事施設や研究施設が津建設される理由。それは魔界から時空を超え、いきなり転移侵攻してくる「幽魔」の襲撃を防ぐ為である。
古代帝国時代、幽魔の襲撃を防ぐ「聖域発生装置」は発明されていなかった。
神域外に住む人々は幽魔の発生率が少なくなる地下に、大小様々な地下都市を建設し、軍事拠点、生活の場にしていた。
この地下回廊もそんな地下施設の一つ。古代帝国時代の修道院地下回廊。大王都の「神域」が解放され、その影響がこの地に及んでいる現在、修道院跡の地下施設は役目も終え、半ば放置された状態となっていた。
******
そんな暗闇続く地下回廊に足音が響き渡る。
「ハァハァハァ……」
ランタンの薄ぼんやりした灯りだけが頼り。必死で走っているのは最近仕えたばかり、とある領主の使用人の男。
彼は某大国の密偵だった。
密偵は腕を斬られ、血が滴っていた。薄れそうになる意識。
「何故だ、何故俺が密偵だとバレた?」
密偵は必死になって逃げる。追われていた。
「最悪だ!」
追っているのは、かつて人間だった
「屋敷内に何で、あんなバケモノが居やがるんだ!?」
密偵を追っていた怪物の叫び声が地下回廊に響く。
「グルルル……」
不気味な唸り声。大人ほどの大きさの一匹と、小さな子供程の大きさの二匹。
腐臭を漂わせる迫る三匹の魔物。
全身に巻かれた包帯は一部ドス黒く変色した血が滲みでている。他に先刻付着したばかりの鮮血、それは密偵の血。
口からは不揃いで不気味な牙が生え、濁り澱んだ死者の目、なのに獲物追うケダモノのように鈍く輝いていた。
手には鍵爪、人の姿なのに両手足を使い四つ足歩行、獣のように密偵に迫る。額に制御用の赤い宝玉が光る。
「グルル」
「ギャァ」
「キャァキャァ」
獣のような咆哮を上げながら迫る。魔物の名称は「
~~夢幻戦記
必死で逃げる密偵、追いつかれれば屍食鬼に喰い殺されるだろう。
「何と、何としても逃げ延びねば……」
命懸けで手に入れた最重要機密。この重大情報は世界情勢を一変させる可能性を秘めている。絶対に持ち帰らなければならない。
「うわぁ!」
脚に激痛が走った。一瞬、何が起きたか把握できない!?
「何だ?」
太腿に穴、鮮血が吹き出ている。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
激痛、密偵の脚は攻撃法術「
「来るな! 来るな! 来るなぁ!」
密偵はもう動けない! 目の前に屍食鬼が迫る。
「たっ、助けて……」
屍食鬼の不気味な顔が迫る。密偵の手が、足が、身体中が死霊に食い千切られていく、自身の身体が死霊の餌となった。
自身の腸がバケモノによって引き千切られ…………絶命の瞬間。屍食鬼を操る人物の姿がぼんやりと見えた。
「ネ……
仮面を付けた死霊法術師が放った屍食鬼によって、密偵は始末された。
「…………」
酷たらしく喰われていく密偵、仮面の死霊法術師は僅かに視線を向けると、必死になって人間を食べている屍食鬼に対し、優しそうな声で語りかけた。
「あらあら、お行儀の悪い」
屍食鬼は死霊法術師の言葉を無視し、夢中で死体を貪っている。
「お行儀良く、ちゃんと残さず食べるのですよ」
また一人、密偵が始末された事によって地下回廊は静けさを取り戻した。
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2025/01/09 一部修正
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【AID POINT1】
「夢幻戦記
005:まで読んでいただきありがとうございました。
プロローグは今回で終了、次回からストーリーは本編へと突入する予定です。
*本編とは関係ございませんので、読み飛ばしていただいても構いません。
まずは、お楽しみいただけたのか?
読みやすかったのか?
ダメだったなと思ったところ。
この作品をレビューするならどうするか?
評価・質問疑問・ご意見・読者様と交流出来るポイントを設定した方が良いとの判断から、切りのいいエピソード終了の最、補給所(aid point)を設置しようと思いました。
☆☆☆・♡・ご意見・更に熱い罵倒(?)を賜りますよう。宜しくお願いします。
また、分割された「あとがき」としての意味も込めての投稿です。
所謂「バトルファンタジー」を創作する上で最も重要なのが「バトル」そのものだと私は確信しています。
構想の段階、まずは「バトルを見せよう!!」「冥夜の狂宴」に隠されたテーマとは何なのかを感じてもらえれば幸いです。
まだまだ序盤。目標は「少年ジャンプで読みたくなるような作品」、これからも是非是非読み進めてもらえるよう。宜しくお願いします。
次の更新予定
夢幻戦記 骸帝聖戦(デモンカイゼル・クルセイド) QUESTION_ENGINE @question_engine
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