君は風 音も匂いも あたらしく ここに根を張る 私を揺らす
映画はあっと驚くどんでん返しで面白く、私がお気に入りのビストロでとった食事は美味しかった。
紀本君と一緒にいると、これまで当たり前だった景色も匂いも味も新鮮に感じて、時間はあっという間に過ぎていく。
これからどうなっていくのか、私がもっと歳を取ったら……なんて、不安を挙げればキリがない。でも、今はこの愛しいと思う気持ちを大切にしてみたい。
デートの終わり、彼は家の玄関先まで送ってくれた。
最後に、今日のお礼と気になっていたことを訊いてみた。
「本当に楽しかった。実はね、私も紀本君のこと結構前から素敵だなって思っていたんだよね。紀本君はいつから気にしてくれていたの?」
「俺は、一目惚れです。初めて会ったあの時から」
それは、いったい何年前……数えている途中で紀本君の顔は近づいてきた。
「ずっと、好きでした」
初めてのキスらしく、軽いそよ風のようなそれは、私の中でカチコチに固まっていた感情を吹き溶かしていった。
君は風 音も匂いも あたらしく ここに根を張る 私を揺らす 碧月 葉 @momobeko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
創作記録/千織@山羊座文学
★18 エッセイ・ノンフィクション 連載中 29話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます