#005 最終話 希望を胸に
「さっきゅん、非常にマズいことが判明した……」
今までにない真剣な面持ちで話を始める魔王。
「なんですか魔王様……」
疲れ切った様子のさっきゅん。
「いや、前回から考えうる限り最悪の展開が続いてるんで……ずっとマズいっちゃマズいんですが……」
「そんなことよりもっと重要な、この世界の存続に関わることなんだが……」
数秒の沈黙。
息を呑む間を乗り越えて、魔王が続ける。
「今回で最終回だ」
「いやどう考えても完結できるわけないでしょうがぁぁぁ!!!」
なんやかんだあって、勇者一行の旅は一話から一才進展がないのである。
「この回を書き始めた時点で残り1357文字しか余裕ないんですよ!? そりゃそうだぁ、あんなバカなことばっかやってたら尺も足んなくなるに決まってんでしょうが!」
「騒ぐな、文字数が減る。もう残り1000文字程度しか残ってないぞ……」
本気で頭を抱える魔王。
「クソッ、このままでは俺との決戦どころか……必死に考えた『最高にカッコいい魔王軍四天王』との戦闘すらまともに描写できん……」
「いやそれそもそも10,000文字に収まる想定で作ってないですよね!?」
中途半端に終わらせるべきではない、というのは作者も痛いほど理解している。
だがどうしようもないほど尺が足らないから若干焦っているのだ。
「……こういう時は先達に学ぶ、というのはどうだ?」
「先達とは、いったい……?」
「かつて、最終回がたった4ページで打ち切られた漫画があったという……」
「いやそれどこのソードマスターヤ◯トですか!
というわけでここからはアニメの気の抜けた音楽に乗せて読んでください。
それでは、ミュージックスタート!
「僕は勇者、いい加減魔王を倒さないといけないことに気づいて一人で旅を再開するぜ!」
「クックック……勇者よ、貴様を魔王様の元へ行かせるわけには行かない!」
「お、お前たちは!」
「「我々は魔王四天王の一枠目!」」
「竜狩りオー……!」
「処刑人スモ……!」
「他社からパクってんじゃねぇぇ!!!」
「ギャァァァァァァァァァ!!!」
「クックック……残念だったな、我々は片方が倒されれば片方がパワーアップ&HPが全回復して戦闘が続行されるのだ!」
「こんのクソボスがァァァ!!!」
「ギャァァァァァァァァァ!!!」
「どうやら二人がやられたようだな……」
「だが奴らは四天王の中でも最弱……」
「所詮は初心者の壁的ボスよ……」
「「「だが勇者! 貴様はこの魔王の影三人衆が必ず仕留m……」」」
「四天王何人いるんじゃボケェェェ!!!」
「ギャァァァァァァァァァ!!!」
「我々は四人一組……」
「一組で四天王の一枠を頂戴している……」
「ちなみに5人になったり6人になることもある……」
「我々、四人の大王が相手だ!」
「うるっせぇぇぇ!!!」
「ギャァァァァァァァァァ!!!」
「おぉ〜、マジェスティッック!」
「最後は一人だけかい!」
「アァァァァァァァァァ!!!」
「クックック、勇者よ……四天王を倒し、よくこの魔王の元へ辿り着けたな!」
「行くぞ魔王! 必ず貴様を倒して世界に平和を取り戻してやる!」
「さあこい勇者!」
「ウォォォ!!!」
勇者と魔王の最終決戦が始まる!
ご愛読ありがとうございました!
あまりにも強過ぎて誰にも倒せないラスボス魔王様が一万文字で勇者に倒して貰うため頑張る話。 イルティ=ノア @iruuunn
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