第4話 神島信介、防衛する
吉日であった23日に祝言を上げた。
「若、いや殿そして翠様、真におめでとうございます。」
「うむ、林これからはそなたも一門ぞ。これからの働きに期待しているぞ。」
「はっ!」
「翠、これからも末永く頼むぞ。」
「かしこまりました。」
そう言って信介も含め家臣たちは余韻に浸っていた。しかし、
「で、伝令!藤直良率いる軍勢が伊奈帆に侵攻!その数、5000!」
「然様か!皆の者、戦支度をせよ!支度が終わり次第軍議を開く。伝令よ直良の軍を監視せよ、こまめに本陣に情報を伝えよ!よいな!」
「「はっ!」」
家臣たちは戦支度に入った。
「翠、すまぬな。そなたの祝言だというのに。」
「殿が謝る必要はございません。領民のため、そして殿の覇道のためこの戦勝ってくださいませ。」
「そうか、直良の首を上げる。そのあとは、そなたのために家臣を集めて宴でも開くとする。帰ってくるまで待っておれ。
「はい」
「なれば、行ってくる。」
「ご武運を」
「あぁ」
翠と会話をし、軍議の場に行った。
「皆、待たせて悪かった。まずは、直良はどのように進軍している。林、説明いたせ」
「はっ、ではこの地図にて。斥候の知らせでは、直良は居城の沖ノ山城から南下し、伊奈帆城の北10キロ付近まで進軍しております。伊奈帆城では1000の兵が籠城の支度をしており、殿の援軍を待っています。」
「で、あるか。今、我らが動員できる兵数は。」
「伊奈帆城の兵を含めずに、3500ぐらいかと。」
「そうか、決戦となれば敵勢は1000はこの城の包囲に残すから同数ぐらいか。なれば、伊奈帆城南のここ、飯垣まで兵を進める。飯垣で再び軍議を開く。よいな」
「「はっ!」」
「今宵中に出立する!各々、準備いたせ!」
「「はっ!」」
一度軍議を終わりにし、出陣した。
藤軍本隊
「信介は祝言の最中か。」
「はっ、信介も含め家臣たちは祝言の余韻に浸っていました。援軍が本格的に来るのはまだかかりましょう。」
「そうか、よく調べ上げた。後ほど感状をしたためる。楽しみに待っておれ。」
「はっ」
伝令は去った。
「よしこのまま、伊奈帆城を囲む。このまま、進軍いたせ!」
「「おぉーー!」」
藤軍は進軍を進めた。
神島軍本陣
「そうか、そうか!直良は信じたか!上々!」
「藤軍はこのまま伊奈帆城の包囲に向かうと思いまする。」
「分かった、休息はここまで、このまま進軍し飯垣で布陣いたす。作戦はさっき言ったとおりだ。飯垣にて最終調整いたす。よいな!」
「「はっ!」」
着々と決戦に近づいていた。
飯垣・神島家本陣
「布陣が完了し、諸将が全て集まりました。」
「然様か。よし、某が当主になってから初の戦だ!我が初陣を勝利で飾ってくれ!この戦に勝利し、直良の首を上げれば、今宵は宴ぞ!思い思い手柄を上げよ!」
「「はっ!」」
「各々、持ち場に着け!」
「「はっ!」」
伊奈帆城包囲軍
「なにっ、信介の軍が飯垣に着陣しただと!間違いはないのだな。」
「はっ、桐文様の旗指、信介の軍に相違ございません。」
「信介のやつめ。抑えに1000を残し、他の部隊は儂の軍と共に南下し布陣する。ここで信介を討つ!よいな!」
「「はっ!」」
直良もまた軍を南下させた。
日が昇り、次第に明るくなり両軍の陣容が分かり始めた。
「信介様、準備が整いました。ご下知を」
「そうか、予備に1000を残しそれ以外は鋒矢の陣形で前進せよ!」
「「おーー!」」
ぶおぉぉぉーーー
法螺貝が鳴り、信介の軍が動き出し戦が始まった。
「信介の軍が動き出し始めました!」
「そうか!よし、皆の者突撃せよ!」
それに釣られて藤軍も動き出した。
「そろそろかな、よし皆の者楯を並べよ!鉄砲隊は発砲準備!」
「「おぉーー!」」
「ぎりぎりまで引き寄せよ、、、、よし放て!二列目構え、放て!」
鉛玉が絶え間なく藤軍に襲い掛かった。
「ぎゃぁっ」「うぐっ」「ぐはっ」
藤軍は開始数刻で多数の死傷者が出た。しかし、
「玉込めの間に突っ込む、騎馬隊準備!」
「はっ」
「よし、突撃!」
藤軍は騎馬隊を突っ込ませた。それに対し神島軍は
「鉄砲隊は槍に持ち替えよ。よし押し出せ!」
槍で応戦し、戦線の膠着を作り出した。それが、信介の策だった。
「よし、いいぞ。林、そなたに騎馬隊500を任す。迂回して伊奈帆城を救い出せ。」
「はっ!必ずや成し遂げて見せまする!」
と言い出撃していった。
半刻後、
「伊奈帆城は目と鼻の先ぞ!伊奈帆城を救いに向かう!突撃せよ!」
号令と同時に騎馬隊500が包囲軍1000に襲い掛かった。予期せぬ奇襲に包囲軍は
「なぜ、ここに敵軍がいるのだ!と、とにかく応戦せよ!」
と目まぐるしく指示を飛ばしていたが
「た、大変です!伊奈帆城の兵1000が打って出てきました!」
「なん、だと、、、やむを得ん、南下し本陣と合流する!付いてこれる者は儂と共にここから離脱しろ!」
と言い半刻で包囲軍1000は壊滅、死者は500とも600ともなった。
藤軍は前方、後方に敵を抱える状態となり混乱した。
「伝令!包囲軍壊滅!我が本陣に落ちてきています!」
「なんだとっ、」
藤軍は引くに引けない状態になってしまった。神島本陣では
「林様、敵包囲陣を壊滅させることに成功!籠城兵を軍に加え敵陣後方に布陣、いつでも攻撃可能とのこと。」
「分かった、これより直良の首を取りに行くぞ!」
「「おぉーー!」」
「のろしを上げよ!全軍、突撃せよ!」
「「おぉぉーー!」」
信介率いる本軍騎馬隊500と林率いる1500が一気に突撃していった。
「後方の敵軍我が陣に向け突撃してきます!」
「伝令!前線が壊滅!」
藤軍は一気に混乱し逃げ出す兵が続出した。
「こら、逃げる出ない!戦えー、戦うのじゃ!」
と直良が指示を飛ばすが、続々と逃亡兵が後を絶たず、神島軍に包囲された。
神島軍本軍
「敵軍を完全に包囲しました。」
「よし、なれば鉄砲隊構え、放て!」
無慈悲に藤軍に鉛玉が浴びせられた。この攻撃で藤軍の半数が討死した。
「皆の者、突撃し直良を討ち取れ!よいな」
「「おう!」」
「突撃せよ!」
神島軍が突撃し藤軍との間で激しい戦闘になった。
「藤直良殿とお見受けいたす。」
「あぁ、そうだ。そなたは。」
「神島家一門衆、林龍信と申す。尋常に勝負」
「望むところだ」
と言い林と直良の一騎打ちが始まった。
「藤殿もなかなかやりますな。」
「何を言う、林とやらもなかなかだな。なればこれはどうだ。」
と直良は刀を突き出した。しかし、林はそれをいとも簡単に避けると、
「藤殿、楽しゅう御座った。さらば!」
と言い刀を振り下ろし、一撃で直良を切った。
「この林龍信、藤直良を討ち取ったりー!」
と大声で叫んだ。
「殿が討ち取られただと。」「もう無理だ。」「に、逃げろ」「命だけは」
命乞いする者や逃げ出す者が出始め、戦場は地獄絵図と化した。
終わってみれば藤軍の死者が4500に比べ、神島軍は200ほどで神島軍が圧勝にだった。この戦の影響で藤家に臣従していた家が続々と神島家に下り、一気に勢力を拡大した。
信介は一度居城に戻り凱旋を行った。伊奈帆城周辺を復旧し、翠との約束通り宴を開き、その夜、信介と翠はつながった。
戦国時代で討ち死にしたけど転生した先が戦乱の世だったので天下を取ります! ゆうマツ @yuu_1224
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