精神医療と己の内面を見つめる人々
- ★★★ Excellent!!!
精神医療物語という書くのが難しい題材ですが、病気との関わり方、人と人の関わり方が丁寧に書かれており、非常に完成度が高いです。
主人公は、初田ハートクリニックの院長・初田初斗。ウサギの被り物をした変人と見られていますが、精神科医として患者と向き合う姿勢は非常に真摯です。
医療に関する小説・ドラマ・漫画は多いですが、本作は精神医療にのみ的を絞り、かつ、(他の方も言及している通り)登場人物のキャラクターが個性的な作品となっているため、肩肘を張らずに読むことができます。
個性的といっても、無理なキャラづけではなく、初田先生のウサギの被り物にもしっかりとした理由があります。
精神関係の病気は、中々他人には理解されないもの……、家族でさえそれは同じです。まして、職場の上司・同僚や学校の同級生など、理解してもらい配慮までいくまでは非常に大変です(経験談)。作中でもそれは顕著に描かれており、それを解決するために初田先生は能動的に動きます。
理詰めと同時に患者に寄り添う初田先生と、先生が抱える問題に寄り添う受付のネルさんの関係も、ケース2で語られるように納得のいく間柄です(いわゆる、"てぇてぇ"という関係です)。
作中では、初田先生が患者と向き合う姿勢や、患者の家族との関係、患者が己の内面を見つめ知らなかった自分を発見するなど、誰かとの関係が織りなす心の機微が描かれており、精神医療物語として非常に完成度が高いと思います。
(もちろん、物語ですので「現実はここまでうまくいかない」と感じるかもしれませんが、それを差し引いてもドラマ性十分の作品かと思います)
埋もれるには惜しい作品ですので、是非、ご一読ください!