言葉で表現できなくなったとき、「音楽」がはじまる

クロード・ドビュッシーの名言のひとつです。音楽家らしい言葉だと思います。
この物語では、色んな楽器や歌など、様々な形での音楽が奏でられています。その音色の数々が巧みな筆遣いで表現され、まるで言葉の限界の壁を突き破ったかのようです。

イタリアのヴェネツィアを思わせるヒストリカルな世界観で始まる婚約破棄、美しいカストラートとの出会い。蘇る幼い頃の鮮やかで苦い初恋。許されぬ禁断の恋と秘密に燃えて悶えるふたりの歌声。まるでオペラのように優雅に、時に軽快に進んでいきます。

何もかもを捨て去って、誰も知らない場所で貴方とふたり、見つけた愛を糧に生きていられたら……。

そんな決意と甘い希望の矢先に起きた事件。再び引き裂かれそうになるふたり。準備の時は過ぎ去りました。さあ決断の時、檻を破って羽ばたけるでしょうか?

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