第1話

私は普通の高校生だった。




部活はバレー部で、成績はそこそこ。



好きな雑誌はファッション雑誌よりもスポーツ雑誌。



好きなバレー選手が着るスポーツウェアなんかを見るのが好きだった、ショートヘアのボーイッシュな女子高生。




そんな私にも、好きな人がいた。




バレー男子部所属の男子。エースというよりも、策士に動くタイプのスタメン。



敵に勝つ秘訣を机上で考えるタイプの彼。



男らしいモカ色のベリーショートに、寡黙さが売りの長身男子、九十九つくもじょう。身体もガッシリと大きかった。



でも私がバレーのことで相談すれば、快く聞いてくれて。無表情ながらに一生懸命応えてくれたことが、恋をしたきっかけだった。



浮かれてたんだろうけど、あまり他の女子とは話さない九十九君が、私とだけは親しく話してくれていたように思えたから。



勝手に特別感を感じてたんだ。

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