第2話

ある日、バレー部エースの先輩が、私のことを好きだという噂が流れた。



それがエースのビジュ最強男子、黒鷺芯くろさぎしん。彼は男女ともに人気のある生徒で、女子からはしょっちゅう告白を受けていた。



だから、自分が好かれているという噂はウソなんだろうと思っていた。だって同じバレー部というだけで接点はなかったし。



話したことも、ほとんどない。



歩未ほみは黒鷺先輩と付き合う気ないの?」


「ええ?私が?まさか。黒鷺先輩が私のこと好きなわけないよ!」


「でも学校中で噂になってるじゃん。」


「私は……うん。黒鷺先輩に私なんか勿体ないって!」


「それって先輩とは付き合えないってこと?」


「……う、うん。。っていうか絶対あり得ないよ。」  



親友の桐絵きりえには、何度も黒鷺先輩を勧められたけど、私はやっぱり九十九つくも君一択。さらさらヘアで美麗男子の黒鷺先輩よりも、断然男らしい九十九君がいい。



でも桐絵にも相談できないほど、私は奥手の恋をしていたんだ。






それから数日経って。



私はいじめの標的にされたようだった。


       

よくある、分かりやすいいじめだ。下駄箱や机の中に赤字で書かれた手紙を沢山詰め込まれていて、そこにはこう書かれていた。



『ヤリマン』

『売春女』

『パパ活3億円プレーヤー』 

『ネットで下着売ってるの?10円で競り落としたったw』



わざわざ私の合成画像まで添付した手紙。



私が知らない男たちを侍らせて、ベッドの上で男の身体に跨っている合成画像。



ご丁寧に、『芥田歩未使用済』という値札付の下着まで下駄箱に入っていたこともあった。

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