第3話

人気者、黒鷺くろさぎ先輩から好かれているという噂一つでいじめの対象にされた私。今まで人間関係は良好に生きてきた私には、かなり痛い打撃だった。    

   


バレー部では先輩にも後輩にも敬遠されて。私は萎縮するあまり、上手く運動能力を発揮できず。終いにはレギュラーからも外された。



むしろ外されたかった。只でさえ嫉妬を買っているのだから、目立たずボール拾いをしている方がマシだった。 



それでも桐絵だけはずっと私の味方でいてくれた。



何度も慰めてくれたし、何度も桐絵の胸の中で泣いた。




  

いじめが始まって1ヶ月、部活が終わって下駄箱を開ければ、いつものように赤字の手紙が入っていた。



私の合成画像付の手紙。おじさんたちの下半身に向かって私が口を開けている画像。



そんな日常に慣れるはずもなく、部活で疲れていたのもあって、私はその手紙を落としてしまった。



「……なんか、落ちたよ。」



その手紙を拾ってくれたのは、九十九君。



手紙を見るなり、普段無表情の九十九君が、笑った。



歪んだ顔で。残酷に。




「なにこれ。気持ち悪。」



あまりの言葉に、声を失った。



恐る恐る九十九君の顔を見上げてみれば、私を嘲笑うかのような表情。



それからすぐに私を睨みながら、呟いた。



芥田あくたって、こんなヤツだったんだ。」




――――そんなわけないじゃん。



どこかで、九十九君だけは違うって思ってた自分が恥ずかしい。



九十九君だけは、本当の私を見てくれてるって。噂になんて左右されるような人間じゃないって。       




高校2年生、3学期の冬。



私は不登校になった。



心療内科に通って、カウンセリングも沢山受けて。カウンセラーの先生から沢山沢山いい助言をもらうことが出来て。



その甲斐あって、高校の単位は、無事通信制で取ることが出来た。

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