第二章 いざ、山荘へ(1日目 午前)
そうこうしているうちに、12/25がやってきた。当日、陽田駅にて合流した彼らは、そこから出る旧国道にそい、
「それにしてもこれはとんでもないクリスマスプレゼントだねえ」
その道中、そう松川がジョークを飛ばした。彼らはこれをとても楽しみにしていた。
「今思えば時というものは早く過ぎるものだな。あの事件からもう2年も経ったんだな」
それを聞いて、皆その事件…
時は2年前に遡る。2年前の11/30、当時竹峰山荘と隣接していた幸田山荘が、その日突然燃えたのだ。それだけだったら自然発火と思うかも知れない。だが、これはどう考えてもそうではないのだ。と、いうのも、主人の鈴木和人が全身バラバラで発見、そして鈴木家婦人の鈴木夏花も胴を割られており、さらには使用人の武内康太も全身ナイフか何かの凶器で滅多刺しにされていたのだ。到底自然発火とは思えない。さらに不思議なこと鈴木夫妻の一人息子の鈴木善太郎のみ消えたのだ。
「それで警察は、鈴木善太郎は当時、大学院への試験勉強に追われており、ストレスで狂って、放火したと考えて彼を指名手配したんだったんだな。又、その時残ったのが竹峰山荘だったな」
上安がそう言った。思えば、ミステリー好きなメンバーで、真相を考えた事件の中ではこれが最も難解だった気がする。
「だけどね、私は未だに信じられないのよ。あの善太郎君が放火したなんて」
そう、同じくミステリー好きな川越がつぶやく。そう、善太郎は、元々狩西大学歴史同好会に所属していた。
「俺もそう信じたいよ。だけど、善太郎がいなくてはねぇ」
そう彼らは雑談する。
「だけどね、やっぱり善太郎の居場所が分かればね、この事件は全てがわかるような気がするんだよ」
「そうだろうね。だけど、やっぱりどこ行ったのかなぁ?」
時というものは早いもので、そう考察し合っていると、目的の山荘が、彼らの目の前に現れた。
「おっ、ようやく着いたね。今何時だい?」
そう松川が巴に聞く。カメラで山荘と、そこから見える景色を撮っていた巴は、腕時計を眺めると、
「今、13:45。予定通りだよ」
「OK。よし、早速昼食に取り掛かろうか」
その合図で、彼らは山荘に足を踏み入れ、昼食を待った。
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今は朝8:30。彼は、ゆっくりと体を起こした。朝食と身支度を、済ませると、
(ドライバー、どこいったっけな)
と、工具箱を探した。彼は、安芸といった。
(さてと、これを作り終えてから向こうに行くとしますか)
と思いながら、何か木の箱から底面をなくした様なものを取り出し、針を二十数本入れ、
“底面”にガラスを貼り付けた。
そんな中、準備を進めていた彼は、ちょっとした欠伸をした。
(眠い…ちょっと夜更かしが過ぎたかな)
彼は昨日…いや今日の就寝時間はよくわからないが、確か1時を上回っていた気がする。そんな中彼は準備をやり終えた。
(そういえば、あいつら今頃何してるかな)
そう思いながら、時計を眺めた。
ちょうど9:59分だった。
(まあしばらく時間あるしちょっと昼寝して行くか)
そう考え、タイマーを13:00に設定し、眠りについた。
結局は“0”に戻る @SSK_smng
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