◯● カジノ船団のマジックショー


 天の竜二体は、ばけくじらとともに海へ消え、光に魅入られ彼らを導いた二人の神父は、しかるべき機関へと移された。

 女傑揃いの第二船団の責任者の一人、モーラは、島のスーパードクター、シオンの緊急手術を受け一命をとりとめた。


 その、数日後。


 丘の邸宅を預かるシェラザード・カステルの元へ、魔法封書ではなく二人の使者とともに、直々に、数々の礼金と品物、それから封書が届いた。魔法封緘は、赤地に赤竜だ。使者は二人とも男装の令嬢だった。短髪と長髪。青い瞳。バラのような唇。ふたりとも、動作は大胆でガハガハと笑ったが、息を呑むほど美しかった。


 島のたぬきおやじは、シリウスを気遣い、丘の邸宅ではなく森の皇国神殿で彼らと会った。彼らもそれを快諾してくれた。失礼には当たらなかった。そこは、ほんとうに特別なお客様のための、特別な部屋だったからだ。


 古い友人である神父長だって、ミルダ父については知らないことだらけだ。しかし彼はいつでも多額の寄付を惜しまなかった。そして、彼の前ではとても優しい顔をした。うたたねすらした。木漏れ日がなぜる彼の頬、目覚めたときのその眼光は、至って穏やかなのだった。

 彼からの依頼は大変珍しかった。もちろん二つ返事で快諾した。神殿の奥の奥。関係者である神父や巫女すらほぼ出入りせず、一般公開されていない、特別な応接室を、彼らの会合のために開放したのだった。贈り物も島民に知られないよう、金竜ビルなど、ほんとうに口の固い古い友人たちだけを頼り、輪郭線を消すなど、配慮に配慮を重ね、いくつかを預かったり邸宅へ届けたりした。



そしてシオン達に連絡が来た。その詳細は別途、こちらに記す。


▶カジノ船団のマジックショー

https://kakuyomu.jp/works/16818093089089529383/episodes/16818093089372761241





 赤き第二船団からの礼状。

それからカジノとショーへの招待状である。


島のたぬきおやじは、

んーっ、と悩んでから、

シオンとミルダを呼ぶことにした。

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【第四幕】闇の竜、あるいは神の代弁者 浮地 秤 @ukky0307

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