第2話
お気に入りの場所があると、気分転換になる。
嫌なことがあっても、その場所に行くことで癒される。
僕は幸福なことに、そんな場所をすでに見つけている。
「いらっしゃいませ」
そう、ここはゲームショップ。
僕にとって特別な場所だ。
疲れた日でも、ここに来れば不思議と心が軽くなる。
棚に並んだカラフルなパッケージ。
静かに流れるBGM。
基本的に無口だが、話しかけるとフレンドリーな店員さん。
全てが心地よい。
おかげで、進路希望のことなんてすぐに忘れられる!
よし、忘れた。
今日は徹夜でゲームしよう!
久しぶりにレトロゲームでもやろうかな。
後でコンビニにも寄って、ポテチとコーラも買ってしまおう!
僕はレトロゲームコーナーに行って、じっくりとパッケージを眺める。
うーん。
どれをプレイしても、楽しめてしまう自信がある。
ここは目をつぶって選んでみようか。
手をプラプラさせて、選んだ!
これだ!
『ゆるゆるRPG』
ほう!
インパクトのあるタイトルだ。
これに決めた!
手にしたゲームをカウンターに持っていく。
「お願いします」
店員さんが笑顔で対応してくれる。
支払いのために財布を取り出すと、ちょっとした違和感があった。
財布が軽い。
「えっと……あれ?」
僕は、少し戸惑いながら財布の中を確認する。
財布の中には、数百円しか残っていなかった。
「これ、無理かも……」
体が震える。
そんな僕に、店員さんは優しく微笑んで言った。
「大丈夫ですよ。また今度で」
恥ずかしい。
何とか言葉を絞り出す。
「すみません……ちょっと、また来ます」
僕は『ゆるゆるRPG』を元の棚に戻すことにした。
とぼとぼと歩く。
そんな時、ふと目に入ったのは店の隅に置かれたワゴンセールのコーナー。
少し埃をかぶったゲームたちが、そこに積まれている。
全品300円と書かれている。
ふむ、これなら買える。
「おお、普通に面白そうだな……」
掘り出し物が眠っている可能性はある。
しばらく物色していると、ひときわ目を引くタイトルがあった。
『ダンジョン・クリエイターズ』
「ってローグライクじゃん!」
パッケージを見る限り、ローグライクっぽかった。
僕はテンションが上がった。
「よし!」
再びカウンターに向かう。
ワゴンから持ってきた『ダンジョン・クリエイターズ』をカウンターに置く。
店員さんが優しく笑った。
「「ありがとうございました」」
支払いを済ませ、袋を手にして店を出る。
ポテチとコーラを買う金はないけど、僕は満足感でいっぱいだった。
「今日は徹夜だ!」
ダンジョン・クリエイターズ たてわき @mahououtatewaki
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