第3話 能力が増えた。
「えい」
「とりゃ、はぁ、はぁ、」
森の奥に行けば行くほど、暗くなっていく。
上を向けば、木の枝の間から日光が漏れている、唯一の光だ。
あの群れのオオカミと戦ってから、たくさんの敵と会うようになった。
零磁の様子は森に入る前と全然違う。
戦う勢力は高くなったものの、疲れ切っている。
「しかし、この森に入ってからたくさんの魔物に会ったな」
「森はやっぱり、敵の遭遇率が高いのか?」
「いつになったら町に着くんだ」
「本当にこっちで合っているのか?」
何回も疑問に思ったが、もう森に入っちゃったものは仕方ない。
戻ってもさっきの草原だしな。
でもそっちの方が安全ではあった。
目視できる範囲で敵はいなかった。
「くそ、失敗した」
「ぐうぅぅぅ」
「(ん?何の音だ?)」
「あ、ごめん。僕のお腹だ」
「....そっかぁ、この世界に来てからお茶以外何も口にしてないな。」
「食べ物となるものは持ってないなー」
自分のカバンの中を見ても、大学のノートと筆記用具しか入ってない。
必死には探すが、何もない。
ポケットにも剣と携帯しかない。
「この世界で携帯って使えるのか・・・?」
トコトコトコ
「おーい、どこ行くんだー?」
ネルンは急に走り出し、森の奥へ消えていった。
心配そうにしたが、お腹が空いて動けなかった。
「ネルーン、帰ってこーい.....」
寝転がりながらネルンを呼び戻そうとする仕草。
「...はっ」
「気づいたら寝てしまったのか、ん?これは...」
隣にいろんな種類の木の実がたくさん置いてあった。
その隣でネルンも寝ていた。
「お腹空いた僕を見て採ってきてくれたのか、ありがとうネルン」
ネルンもお疲れの様子でぐっすり眠っていた。
「こんなに木の実あって、どこまで行ったんだ?」
「とりあえず、食べよう」
「しかし、本当に食べれるのか?」
怪しそうにじっくり木の実を手に取ると、いきなり視界にステータスが表示される。
「うわっ」
びっくりした零磁に反応して、ネルンが起きる。
「(ど、どうした?)」
「あ、ごめん起こしちゃったか」
「な、なんでもない」
ネルンは再び寝た。
何事もなかったかのように話を逸らす。
「さっきのはなんだったんだ」
またさっきと同じように真剣な眼差しで木の実を見る。
するとさっきと同じようなステータスが表示される。
そのステータスには見たことない言語が書かれていた。
だがしかし、不思議とそれが読める。
ステータスにはこう書かれていた。
<< 名称 アカノミ >>
<< 回復 +2 満腹度 +2 満足度 +1 >>
他の木の実にも書かれている。
<< 名称 アオノミ >>
<< 回復 +3 満腹度 +1 >>
<< 名称 サキノミ >>
<< 回復 +2 満腹度 +5 満足度 -1 >>
<< 名称 モモノミ >>
<< 回復 +4 満腹度 +2 満足度 +3 >>
「食べれば、だいたいわかるが....そうだな」
「一回全種類食べてみるか」
「あむっ、もぐもぐ」
「うん。いけるなこれ」
「これも案外行けるな」
「意外と全部うまいかも」
アオノミを手に取りだした。
「ちょっとこれだけブルーベリーに似てるな」
「このサキノミっていうやつだけ満足度がマイナスだからわからないかな」
「これだけ単体で食べたらお腹は満たすけど、そんなにおいしくないって意味かな」
ここにある4種類を1つずつ食べたらお腹がいっぱいになった。
「んー、どうしよう」
「残りの木の実はカバンの中に入れるしかない。」
「このぐらいだったら入るだろう」
残った木の実を大学で使ってたカバンの中に入れた。
たくさんあったがなんとか入った。
少し重く感じるが、我慢するしかない。
「よいしょっと、少し重いな」
「元の世界に戻れるのかな」
急に家に帰りたくなり、元の世界に帰えれるか、考えた。
大学で使っていたノートを取り出す。
「これ・・・いるのかな、もういらない気がする」
「元の世界に戻れなかったらこれいらないぞ」
「まぁ、持っておくか」
「持ってても何に役立つかわからないけど」
ごちゃごちゃ言いながら、町の方向へ向かった。
「何か忘れてるような・・・」
「・・・あ!ネルンだ、ネルンがいない」
さっき寝ていたところに戻った。
異世界自由人 どこかのユージ @yuji001
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