第2話 敵と遭遇した。

「なぁネルン、ネルンの声はどこから聞こえてるんだ?」


「(これは獣魔契約をしたものが聞こえる特別な空間だ)」


「特別な空間!?...ってことはネルンは特別な存在ってこと?」


「(そういうことになるかもな)」


「へぇー、ネルンって凄い動物なんだね!」


 ネルンは、照れるような仕草をし、先頭に行き、走り回った。


「あはは、犬みたいで可愛いじゃないか」


 零磁も楽しそうみたいだ。


 無限に続いてる草原だったが、森が見えた。


「町の方向は本当にこっちであっているのか?」


 道を教えてくれた旅人さんのいうことを信じるしかないと思い、

不安そうに思いながら、進んだ。 


 遠くからシャーという鳴き声が聞こえた。

これはネルンの鳴き声かと思い、ネルンの元へ走った。


 そこに現れたのは二匹のオオカミだった。


「ネルン、逃げろ!」


 一匹のオオカミはもうすでに血を流しながら倒れている。


(これは...ネルンがやったのか?)


ネルンはもう一匹のオオカミに対し、魔法を放った。


「ウワオォーン」


バタン


オオカミは鳴きながら倒れた。


「何したんだ」


「(少し耳を触っただけだ)」


「それって魔法なのか?」


零磁はキラキラとした目で瞬きしながらネルンの方へ目を合わせた。


「(...そうだ)」


「僕にもできるかな、その魔法」


「(これと同じような魔法は難しいけど、違うものならできると思うぞ)」


「あんなことやこんなことが僕にもできるのかー」


色んな事を考えながら、ワクワクするのであった。


「なぁネルン、魔法の使い方について教え......て、今度は何してるの?」


「(遠くの方からまた気配がする)」


「げっ、またかよ」


ネルンは先へ行こうとしてる


「ま、待って」

「危ないし、遠回りはできないのかな」


そう考えるが、ネルンは倒したくてしょうがないらしい。


「行くだけ行ってみるか」


 オオカミが見える場所まで来た。

オオカミがいる場所は草はなく、開けたところにいた。


 さっきのオオカミと同じような鳴き声が何回も聞こえた。

群れがあるのが分かる。

でも目視で見える範囲では五匹程度


 できれば、戦闘には参加したくはないが

ここを越えないと町へは行けない。


だが、こっちはネルン一匹...


「僕は何もできない」


「何かないか....ん?」


ポケットを漁っていたらさっき旅人から貰った小さな剣があった。

これで少なくとも参加はできるだろう


「これでなんとかなると信じて戦うしかない!」


「よし、行こう!ネルン」


オオカミがいる戦場へ出ると足場が震えた。


数秒前の勢いがあった様子は消えていった。


オオカミの多さとそれを守るように他のオオカミと比べて少し大きいオオカミがいた。


(ネルンに頼っていちゃだめだ、勇気を出そう)


「よぉーし、来い!!!」


零磁はビビりながら叫んだ。


叫んだ時の声量が大きかったのだろう。

全てのオオカミが零磁の方へ向いた。


一斉にこっちに向かってきたオオカミに対し、零磁は腰が抜けた。


心の中で助けを求め...目を閉じた。



そのとき、複数のオオカミは倒れた。


オオカミの倒れた音に反応し、目を開けた。


「うおっ、何が起きたんだ」


「ネルンか、ネルンが助けてくれたのか」


半数のオオカミは意識がもうろうとしている。

今にも倒れそうだ。


大きいオオカミはダメージを受けているが全然動いている。


大きいオオカミは零磁の方へ襲っていった。


「く、来るなー、やめろー」


また目を閉じた瞬間、このような音が聞こえた。


カキン、カキン、カキン....


目を開けたら周りには寄ってくるが、一定範囲には入れないというのがあった。


零磁はすぐにこれがなんなのか気が付いた。


「これはバリアだ、でもどうしてだ。」


「そうか、ネルンが守ってくれているのか!」


 安心した零磁は、恐怖心がさっきとは裏肌に全くなくなったかのような勢いで

オオカミに剣を刺していった。


他のもうろうとしているオオカミにも刺した。


「この能力があれば、倒せるぞ!」


「(零磁!強いじゃないか!見直したぞ!)」


「ネルンもありがとうな」


「(これが零磁の魔法か!)」


「いや、僕は魔法を使ってないよ」


「(あのバリアはなんだ)」


「あれは、ネルンがしてくれたんじゃないのか?」


「(俺は何もしていないぞ)」


「・・・え?」

(スキルっていうやつか?)


困惑した零磁はよくわからないまま、直立で呆然とした。


カラン、コロコロコロ


光った石が転がってきた。


(これはなんだろう、綺麗だし持っておくか)




「戦ったから喉が渇いたな」


自分の持っていたカバンの中を漁るとコンビニで買ったお茶が入っていた。


「ラッキー」


お茶を飲みながらのほほーんと過ごした。

謎に包まれた能力とともに冒険するのであった。

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