異世界自由人

どこかのユージ

第1話 異世界へ飛ばされた。

 僕の名前は零磁、普通の大学生だ。

今日もいつも通り授業を受けてから、ご飯を食べて家へ帰ろうとした。


 電車から見えた風景は、都会とも田舎とも言えない中途半端なところだ。

電車から降りてから少ししたところにコンビニがある。


 鼻歌を歌いながらコンビニまで向かった。


「この家って人住んでいるのか?」


と、独り言を言いながら歩いていた。


ビクっ!

黒い影が背後から横を通るのを見えて、少し恐怖を感じた。


 幻覚が見えるのは珍しくはない。

だが、奥が透き通らないぐらいの黒い物体を見えたのは初めてだ。


「早く行こう...」


慌てて、コンビニへ行き、家へ帰ろうとした。


 コンビニには誰一人いない。

そう、ここはセルフレジで無人だ。


コンビニから出ようとした瞬間、


「ドカン」


誰かとぶつかったような感触がした。


「あ、すみません。前を見ていませんでし....たって、誰もいないじゃないか」


周りを見渡しても誰もいなかった。


「うーん...今日は少しおかしいな」


怖くなった零磁は急いで家へ帰った。


 家へと繋がる道は周りは畑だらけ、店一つもない田舎道だ。

道路の整備はされているが、綺麗とは言い難い。


その瞬間、さっきと同じような黒い影が目の前に来た。

びっくりしたが、知らないふりをして横を通ろうとした。


「ぐはっ」


お腹に殴られたような感覚が走った。


でも特に痛くない。それが不思議だ。


「!?君、大丈夫かい?」


後ろを歩いてた人に話しかけられた。


「あ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」


と言いながらその場を去った。


 家とは反対方向だが、近くにある神社へ向かい休憩しようとしたとき、身体に力が入らないのがわかった。


さっき殴られた箇所に痣ができていた。


「痛くないのに痣ができるのは不思議だ」

「仕方ない、ここで少し一休みでもするか」


謎の黒い影や痛くなかったのに感覚がまだあることを気にしながら眠りへ落ちた。


~数時間後~


「ぐうう...はっ!寝てしまってたのか」

「どのぐらい寝ていたのだろう」


「ここは一体...」


 神社の前で寝ていたはずが、起きたら山の中にいた。


「そんなに時間は経ってないようだな」

「歩いて道を探すかー」


周りは草木で変わった様子はない。


ガサガサガサ


「!?」


 黒色の猫が現れた。

見た目はすごく可愛い、見ただけで癒される。


零磁のところまで近づいた猫を可愛がる様子


「どうした~?」

「おぉーよしよし」


 猫を撫でていたら急に撫でていた方の手が光りだした。


「おおお、なんだなんだ!?」


光っていた間びっくりしていたが、光はすぐになくなっていった。


「(あの光は何だったんだろう)」

「また幻覚か・・・?」


よくわからないからとりあえず、この森を出ようと考えた。


 歩いていると森の奥から光が見えた。

その先にはサハラ砂漠かのような大きい草原が待っていた。


「こんな場所あったんだな、違う世界に来たみたいだ」


後ろを見ると森がどれほど暗かったのかわかる。


「しかしこの猫、どこまで着いてくるんだろう」


ふと思ったが、懐いてると思い、あまり気にしなかった。


 草原を歩いていると、少し遠くに人が歩いてるのが見えた。


「なんでぼやけているんだ」

「あ、そうか。僕は目が悪かったんだ。」


と思い、メガネをかけなおそうとすると


「あれ、み、見えるぞ」


 いつもメガネをかけないと見えないぐらいの視力なのに、

メガネをかけなくとも全然見える。

 むしろいらないぐらいだ。


「今日はやっぱりおかしいことが連続で起きている。」


少し危機感を持つようにした。


 人が歩いているのを肉眼で視認できた。

その人は刀のようなものを腰に掛けている。


「この世界は本当に自分が居た世界か?」


 疑問に思った零磁はその人に話しかけようとした。

次の瞬間、


その人はこちらに気づき、刀の持ち手を持ち、構えながら零磁の方へ向いた。


びっくりした零磁は少し不安そうに話しかけようとした。


「すみません、この自然を出たいのですが、どうすれば行けますか?」


困惑した状態で刀を直した。


「お前の名前はなんだ。」


「零磁と申します。少し歩いていたら迷子になっちゃいまして・・・」


「俺が進んできた道を歩くといい」

「この草原は長いがその先には小さい町がある。」


「ありがとうございます。」


「おう、礼には及ばんぞ。」


向かおうとしたとき、


「おい、ちょっと待て」

「お前、武器も持たずに大丈夫か?」


「武器...?」


「この近くには大きな魔物の気配がある。」

「魔法は得意なのか?」


(魔法ってあれだよな、炎とか水とかを想像して出す奴か?)

(いや、そんな現実世界で魔法使う奴なんて超能力に過ぎない)

(この人は魔法使いなのか?)

(使い方を少し聞いてみようか)


「すみません、魔法ってどのように使うんでしょうか?」


「お前さんそんなことも知らねぇのか?この世界だと一般常識だぞ」


「一般常しk.........えぇーー!?」


「お前さん、この世界の人間か?」


凄く不安そうに怪しげに聞いてきた。

少し停止した自分だがすぐに正気に戻った。


「あ、すみません。少し記憶がなくなってしまい、状況整理ができなくて.....」


「おいおい、大丈夫か」

「お前さんだけだと不安そうに見える」

「どうだ?一緒に俺と冒険でもするか?」


「あ、いえ。お気持ちだけ受け取っておきます。」


「そうか」

おじさんから少し小さな剣をくれた。


「これで頑張りな!」


「名前だけでも聞かせてください!」


「俺はただの旅人だ。気をつけてなー」


 後ろ向きに手を振ってくれた。

その背中はかっこよかった。


その旅人からアドバイスをもらった。

凄く優しく、見た目50代ぐらいの頼りになるおじさんだった。


「そうか、この世界は異世界なんだな」

「これからどうしよう」


足元からにゃお~と猫の鳴き声が耳に入った。


「あ、いるの忘れてた」


にゃお~

(我に名前を付けるのだ)


「ん!?」

「今、直接脳内から聞こえたぞ.....」


にゃお~

(あと一回しか言わないぞ)

(我に名前を付けるのだ)


「これはこの猫の声なのか!?」

「まぼろしじゃないのか」

「ん~、えぇーと」


おとなしく待つ黒猫と一生懸命考える零磁であった。


「決めた!」

「お前は今日からネルンだ」


零磁はネルンを持ち上げていった。


にゃお~


ネルンは嬉しそうにこちらを向いた。


「とりあえず、町まで行く道を聞いたからそこまで行こうかな」

「これから不安はあるだろうけど、ネルンと一緒にいれば大丈夫かも!」


不安そうだったが、少し勇気が出て、ネルンとこれから一緒に冒険するのであった。

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