この百合小説は危うい。2000文字に満たない短い短編の中に、快楽を覚え、死に惹かれる10代の危うさが満ちている。そしてその危うさはなんと美しいのだろうか。静かで端正な文章の中に、ハッとするような表現がいくつも散りばめられている。日常の中で麻痺していく心を受け入れ、あの頃のような心の震えを感じることのなくなった大人にとって、10代のむき出しの心はこんなにも危うく美しいものなのか。その短い一瞬を切り取り、無限の広がりを想起させる手腕も見事と言うほかない。
もっと見る