エピソード1 有勝(ありがち)サブエピソードB

 白狐火華びゃっこほのか心旅こころたび 天誅てんちゅう

~”わかる~おばさん”の小さな野望やぼう二次三次的にじさんじてきな被害”精神疾患ハラスメント”~



火華ほのか憑依 ひょうい

―― 火華が隣の部屋で聞き耳を立てている無我むが(わかる~おばさん角子かくこの長男)に憑依した。

長男無我むがの視点から”わかる~おばさん(角子かくこ)“をロックオン。観察し始める。

角子は、母方の叔母の文子ふみこおばさんと電話をしている様子。


角子:「最近どうしとる~?いつもお母さんのお墓参りに行ってくれてありがとね~。」


文子:「良いのよ良いのよ。それより、角子ちゃん、知ってる~?姉さんの家の長男と長女が二人とも精神科へ通院してるみたいなのよ。仕事もできないみたいで、長男は姉さんと同居だけど仕事にも行っていないらしいのよ。困っちゃうわね~。姉さんも大変よ~。嫁に行った娘もおんなじようだもの。近所の人の手前、外に出すわけにも行かないから家でじっとしているだけまだマシよね~。」


角子:「(普段より2オクターブにおくたーぶほど高い声で)わかる~わかるわ~、文子おばちゃん!精神病ビョーキの人を外に出せんわよね~!うちも長男の無我がアレだもんで、外に一人ひとりで出られたら困るのよ。何もできんもんでね。」


文子:「旦那さんの、ご実家の方はどうなの?」


角子:「両親は入院してるでね、手はかからんだけど、ケアマネや病院からチョクチョク電話が来るもんでね、わずらわしいだよね。旦那の弟の金生かねおも、角子かくこさんが近くにいるのだから様子を見に行けとかうるさくてね、何で私の親じゃないのに私が行かにゃあならんの? と思うだよね。目下めしたの癖に私にイチイチ物申してくるだよ! 腹が立ってしぁあないじゃんね。気分悪い! しゃべりたくもない! 金生の顔なんか見るのも嫌だよ。」


文子:「角子ちゃんも大変ね~。たまには家へ泊まりにおいで。」


角子:「そう言ってくれる身内は、文子おばちゃんだけだよ。嬉しいよ。」


文子:「そう言えば、妹の長子ながこちゃんは?どうしてる?」


角子:「旦那の菊一郎きくいちろうがよくないだよね、車椅子で動けないのに家にいてさ、体も不自由だけど精神病ビョーキもあるでね、病院へ入れちゃえばいいだよね。精神病ビョーキの癖に、私に一丁前いっちょうまえに説教してきちゃって、わけわからない!気分悪い!だから、精神病ビョーキだから電話もメールもしない方が良い!って言ってやっただよ。」


文子:「そうだったの、角子ちゃん可哀想に……。」


角子:「文子おばちゃんだけだよ、わかってくれるのは……。」


文子:「角子ちゃんも、大変なのね。兄さんが入ってる宗教ナムナムに入ってみたらどう?私も入ってるけど、気持ちが楽になるよ。」


角子:「そう言えば昔お母さんが入ろうとして、お父さんに叱られて入らなかったのを覚えてるよ。」


文子:「村田さんがあんな頑固な人だから、姉さんは亡くなってしまったのよ。みんな兄弟が同じ宗教ナムナムに入っているのに一人ひとりだけはいれないから、可哀想に……。」


角子:「(普段より1オクターブいちおくたーぶほど高い声で)わかる~、確かにお父さんそういうところある。転校ばかりで友達ができない私のことは放置して、やたら学校行けって怒鳴るばかりで、毎日学校へ行く長子ながだけ可愛がっていたし。自分だけが正しいと思ってるからねぇ。お母さんが訪問販売で、アイロンだか掃除機だか高い物を買った時にも、お父さんはえらく怒鳴って返して来いって言ってたもんね。」


文子:「角子ちゃんなら、わかってくれると思ったよ。じゃあ入ってみる?」


角子:「次男のげんに相談してみるよ。」


文子:「あっ、そう……。」

と、言い終わるか終わらないタイミングで文子は電話を切った。


携帯電話をもつ角子の耳には不通音が……。

ツーッ ツーッ  ツーッ ツーッ ツーッ ツーッ ツーッ ツーッ



意地悪な質問イジワル観察かんさつ

―― 一部始終いちぶしじゅうを見ていた無我に憑依している炎華がボソッと言う


無我(炎華):「どちらも、何も解ってないのでは?」


―― 話の全てを無我(炎華)に聞かれていたことに気づき我に返る角子。


角子:「無我、あんたどこから聞いてたの?違う、違うんだよ、アレは文子おばちゃんが、いろいろ言うから相槌あいづちを打っていただけだよ。お母さんは無我が頑張ってるのをよくわかってるでね。気にせんで良いもんで。わかってちょうだいね。」


無我(炎華):「何も違わないのに、どうして違うって言うの?何が違うの?わかるって何が?何がわかるの?ほかの人に自分の息子を“アレだもんで”って言うアナタにうちの何が分かるの!?」


角子:「そ、それは……。わけわからんコト言っとるのはアンタでしょうよ? 精神病ビョーキなんだから話さん方が良いと思うよ!」


無我(炎華):「なにっちゃってるの?精神疾患だからって何?話さん方が良いって何?それってアナタ! 完全に“ハラスメント”ですよね?“アウト”だよ~! 話さない方が良いというのも、うちに言論げんろん自由じゆうゆるさないと言ってるのも同じなんよ?それも、ちゃんとわかってる?ねぇ”わかる~おばさん”?ちゃんとわかってる~?アナタは親戚の前でも知人の前でも、わからないことでも、 普段より1オクターブいちおくたーぶ2オクターブにおくたーぶも高い声で“わかる~”って言っちゃってるよね?それってどうなの?本当にわかってるの?そうじゃないよね?」


角子:「うるさい!うるさい!」


無我(炎華):「適当に“わかる~”って言っておけば、世間とうまく付き合える?世間の人から悪く言われない? 世渡よわたりが上手うまくいく?それって利口りこうな生き方?そんなふうに思ってるのかな~?本当にそうだった? 」


角子:「だからうるさい! 黙れ! アンタいったい誰から生まれてきたと思ってるの?私は親だでね、アンタは黙って言うこと聞いてれば良いだがや。あんたと違ってげんは優秀で良かったじゃんね。」


無我(炎華):「そのげん結婚けっこんしちゃうから、金生かねおさんや長子姉ながこねえちゃんの旦那さんのきくさんに意地悪イジワルするように、げんのお嫁さんにもアナタが意地悪したり、思い通りにならない時に“顔も見たくない”と言い出したら、げんもアナタから離れていっちゃうよ?それこそ、わかってる~? 結局、げんの結婚式に親戚の人は来てくれるの?誰も来ないんじゃない? 一流の学校を出て一流企業に就職して結婚することになっても、親戚がみんな来ない。何故だと思う? アナタはいつも自分中心で思い通りにならないと直ぐに、“嫌い! 喋るのも嫌! 顔も見たくない! ”って言ってきたよね? アナタが利口なカシコイ生き方だと思ってやってきた“わかる~”も人によっては直ぐに見抜かれた。金生かねおさんにもきくさんにもね。だからこそ、あの二人ふたり嫌いけむたい、あの二人ふたり物知ものしりだし言葉でアナタに負けることは到底とうていないから、言い返すこともできないでしょ~? それが悔しい? ムカつく? 許せない? そう思って嫌っているのはアナタのほうだけだよ~? 」


角子:「お互いにきらいに決まってるじゃんよ。」


無我(炎華):「アナタはだ解らないの? かなり自意識過剰じいしきかじょうだね~。アナタが世間知らずで非常識だと言っている金生かねおさんは、アナタをてにしないでお爺ちゃんお婆ちゃんの保険料と入院費と介護にかかるお金を全てお父さんの代わりに払ってくれてるし、菊さんだって忙しい長子姉ながこねえちゃんの代わりに、長子姉ちゃんの名前で年賀状を作って送ってくれているんだよ。長子姉ちゃんは、年賀状のデザインとか苦手だから菊さんが作ってくれたって、直ぐに分かったよ。家族の近況が分かるように文章も入れて、手書きは両手がしびれている菊さんにはできないから、最後に長子姉ちゃんが書いたんだと思うよ。」


角子:「そんなことない! 長子ながこが書いてくれたんだよ! 私にはわかるでね! 」


無我(炎華):「長子姉ちゃんに確認したの? 」


角子:「そんなん確認しないで良いじゃんね。」


無我(炎華):「それじゃあ、長子姉ちゃんはげんの結婚式に来てくれるって言ったの? 」


角子:「言ってない……。でもそれは、あの頭がオカシイ旦那のせいでしょうよ! 」


無我(炎華):「菊さんは、頭おかしくないよ?少なくともアナタよりも物事ものごとを深く考える人だよ。“精神疾患=頭オカシイって言う考え”は、“精神疾患ハラスメント”だよ? アナタは、うちのことも同じように思っているってことだよね? へぇ~、頭がオカシイ息子と優秀な息子とに区別いるんだ? 今までずっとそう思ってたのね~。 ずっとが子をも差別してきたんだね。 それで、うちの彼女にも差別発言をしたり、財産がいくらあるかとか余計なことを聞いたり、障害年金をいくらもらっているかまで聞いたのね?」


角子:「そ、それは、将来アンタが自立できる保証がないから心配でさ。ちょっと聞いただけじゃんね。」


無我(炎華):「ちょっと聞いただけ? ……。自立できる保証がないから?……いつか自立できるって信じてないんだ……。」

    

――無我が突然とつぜん、自分の中の炎華を制止せいしし、自分で話し出す。


無我:「あのさー、俺はアンタのせいで、彼女から“無我君むがくんのお母さんが私の家の財産をねらっているからもうお付き合いできない!” って言われて別れることになったんだ! そして彼女はその後、精神疾患が酷くなってしまって、ずっと入院している。デイケアで会うこともできなくなったんだ! アンタの“ちょっと聞いただけ”が 彼女を追いつめて苦しい想いをさせてるのが判らないのか? 何でアンタはいつもいつも自分のことしか考えないんだよ! 彼女とのデートの時も、アンタは俺が一人ひとりで外を歩くのを嫌がって、ずっと付いてきたよね? 俺も彼女も大迷惑だいめいわくだったんだ! 俺、もう32歳だよ?うんざりするよ!」


角子:「そりゃ心配だからでしょうよ! 二人ふたりともアレだから。」


――そこで、無我に憑依している炎華がふたたび話し出す。


無我(炎華):「もしも~し?アレって何だ?差別的なことですかぁ?ダメだよ~、“わかる~おばさん”!今は差別はアウト~、ハラスメントもアウト~!繰り返すとレッドカードだよ~?」


角子:「何かさっきから無我、変だよね? 頭がどうかしちゃったのかねぇ?」


無我(炎華):「どうかしているのは アナタの考え方です! てゆ~か、今って令和だから~♪ おばさん何時代の人~? 」


角子:「何って……昭和だけど……。」


無我(炎華):「今は令和! いろんな意味で、わかってる~?」


角子:「何が言いたいだね? わけわからん。気分悪い。」


無我(炎華):「どこがわからないの? 言ってくれたら説明するよ~? “わかる~おばさん”は、わからなくなると気分が悪いの? それとも、アナタが自分よりも劣ってると思い込んでいる精神疾患がある人が、アナタに解らない高等な発言をすることが受け入れられないから気分が悪いの? 人間は誰にでも得意不得意はあるものだよ? わからないことは恥ずかしいことじゃないよ。わからないことを“わかる~”って言っちゃうところに問題があるの~。それは解るの? 自分の無知を知ることこそが大事なのよ! 自分が知らないことを知って、そこから学んで覚えれば良いだけじゃない? そうしてる人はどんどん先に進めるのよ! 」


角子:「話が長いとわけわからない!気分が悪い! 黙れ! 」

と言って、角子は鼻息はないきあらげて、大柄な体を大きく揺さぶりながらドッシンドッシンと地団駄じだんだを踏んでいる。それは、まるで特撮映画の怪獣が大きな建物を次から次に踏みつけている姿を彷彿ほうふつさせるように、とても迫力がある光景だった。


無我(炎華):「醜い……美しくないなぁ……。わからないことを“わかる~”で済ませたり、単身赴任中のお父さんに納豆しか食べさせないで、アナタは、自分ばかり鰻やステーキを食べたり、メインディッシュを肉料理と魚料理の両方食べたりしているよね?それを続けていたら、体だって当然我儘ボディーになるよね~。だけど、アナタは、それは止めようとしないで、高級化粧品や高級の補正下着を買って使っている。それって、何かが違くない?」


角子:「何が言いたいだね?」


無我(炎華):「だ~か~ら~、外側をいくら取りつくろったって、内側までは変わらないのよ! 内側から磨くことをしなければ内側はずーっと醜いままってこと! いくら面子メンツばかり気にしてその場を取り繕ってもも、所詮しょせん、その場しのぎでしかないの! そんなメッキは直ぐに剝がれちゃうのよ! メッキがはがれた状態は如何いかなるモノでも醜いのよ! 」


――何も言えなくなり、呆然ぼうぜんと立ち尽くす角子。



情熱と美学の追求

――角子の前にいる無我の体から飛び出し、炎華は美しい白狐びゃっこの姿に戻って再び話を始めた。


炎華:「うちの美学に反する者には容赦ようしゃしないわ! 正義の審判しんぱんくだ瞬間ときが来たのよ! さあ、お仕置きの時間よ~! 天誅(てんちゅう)を喰らちゃって~♪ 」

と言いながらウインクをする。


角子:「は? お仕置き? なんで私がそんなんされないかんの? 」


炎華:「まあまあ、楽しんで~♪」

と言いながら、炎華は内心“ざまあ~”と思い、ニヤッとほくそ笑んだ


――すると、辺りが異空間に変わり……角子はバランスボールに座っている。

  そして、角子のまわりには山積みになった、クロスワードパズルとナンプレが……。

  角子は、この状況に啞然あぜんとしている。

  

炎華:「世間体せけんていを気にしすぎて、人間関係にかどが立つのが嫌で、“わかる~”と言って世渡りをしようとするアナタに、取って置きの罰ゲームを用意したの♪ かどがない丸いバランスボールの上に座って、バランスを取りながら、心ゆくまでクロスワードとナンプレをお解きなさい! 解けるまでバランスボールから降りれないし、もとの世界には戻れませ~ん♪ だけど、ある言葉を言えばもとの世界に戻れるかも~? (フフッ)」

  

――炎華の目の前で、四苦八苦しくはっくする様子の角子。   すでに30分が経過していた。


炎華:「ああ、言い忘れちゃった~。バランスボールの上でバランスを取るのを20分くらいして熱を出した人もいたよ~?(ウフッ)」

と言って炎華が冷ややかな笑みを浮かべる。


角子:「こんなの解るわけない!解らないに決まってるじゃんね!」


炎華:「あ~、言っちゃった……。今のが正解!“解らない”って言うともとの世界に戻れる仕様しようです。」

と、言う炎華は少し不満げな様子。


―― 辺りは再びもとの世界に戻った。

角子は、その場にしゃがみ込んで動けない様子。


炎華:「あのさ、今度また精神疾患の人を差別するような“わかる~”をいったり人を傷つけるような“わかる~”を言ったり、“わかる~”を言わなくても“ハラスメントな行為”をしたら、うちはまた、“わかる~おばさん”に、お仕置きしに来るからね!」



火華の教え

 ――どうも、ご無沙汰しております。天の声です。今回もよろしくど~ぞ~!

 それじゃあ炎華に締めの挨拶をしてもらおうか。


炎華:「“わかる~おばさん”て、最近どこでもよく見かけるけど、このおばさんは中でも強烈だった! “わかる~おばさん”は、世間に良く思われたいっていう小さな野望の“わかる~”をやたらに言う生き物だった。それだけじゃないよ? 今回の“わかる~おばさん”は“精神疾患ハラスメント”もしまくっていた!信じられない!“精神疾患の人が彼女の二次三次的な被害”にあっていたんだ!あり得ない! “わかる~おばさん”は、コンプライアンス的に“確実にアウト”! 今の時代に合っていないよね~? 同じことを繰り返したら絶対許さない! 次やったら、うちが、またお仕置きをしてやるんだから! あとね、親戚の精神疾患ハラスメントおばさんも最悪ぅ~。 今度やったら、二人纏ふたりまとめて天誅てんちゅうだ~!」


――なるほどなるほど、流石さすがだね! 炎華! よく観察していたね!


“わかる~おばさん”が反省して、“わかる~おばさん”の自己中心的な考え方が、この先、今よりも良くなって、二次三次的な被害にあう人が減っていきますように、某(それがし)もお祈りしようじゃないか!


それじゃ、また会う日まで、アデュー!

(エピソード1は更につづく サブエピソードB完 ナレーションは天の声でした!)


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四智円明に月輝る たこやきこうた @takoyaki-cottasan

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