AURA(アウラ)

「私、何がしたいのかな……？」

進路希望調査票の名前記入欄に、自身の名前を記した後、その用紙を横目に頬ずえをつきながら、窓の外の向こうにそびえ立つ三大名山を眺める彼女は、本作の主人公・本田ルリ。高校三年生。

7月の晩夏、お昼休み・クラスの窓際の特等席に座る彼女は笑顔が良く似合う18歳。

いつものように友達2人と、ルリを入れて3人で一緒に弁当を食べるという日常を送る＿＿＿はずだった。

ルリの弁当がいつも美味しそうだという友達の楽しそうな会話の流れで、ルリの思考は止まる。弁当を作ってくれている両親の話をしたタイミングだった。

突然、ルリは箸を床に落とし、両手で頭を抱え始めた。自分の両親の顔と名前を思い出せなくなってしまたのだ。ルリは静かに錯乱し、友達も見たことない程の深刻そうな表情で…続きを読む