綺麗な女の人が来ました

ぽぽ

第1話

 n月n日


 女の人が家に来ました。黒い着物を着ていて、顔は見えなかったけどとても綺麗な人でした。

 女の人は言いました。

「あなたの一部を差し出せば、あなたの願いを叶えましょう」

 それを聞いて私は、

「本当に?どうやって?」

 と訊きました。すると女の人は、何も無いところからダイヤモンドを出しました。それは、女の人が言っていることが本当だと証明することでした。

 すっかり女の人を信じた私は、願い事をすることにしました。

「沢山お金をください」

 女の人は言いました。

「それなら、あなたの右手の小指を私にください」

 小指くらいなら大丈夫だろうと、それを受け入れることにしました。

 すると、私の手から小指が消えました。痛みはなかったです。まるで、もとからそうだったみたいな感じでした。

 気付いたら、私の目の前に、大量のお札がありました。多分、千枚は超えていると思います。

 女の人にお礼を言おうとしましたが、いつの間にか消えていました。

 不思議に思いながら、私はお札をまとめました。


 n月n日


 昨日に続いて、今日も女の人が来ました。

 女の人はまた言いました。

「あなたの一部を差し出せば、あなたの願いを叶えましょう」

 私はまた願い事をすることにしました。

「私をかわいくしてください」

 女の人は代償を要求します。

「それなら、あなたの左耳をください」

 私はそれを認めました。

 すると、音が聞こえにくくなりました。耳を触ろうとしても、そこには何もありません。穴も開いてなかったです。

 私は鏡の前に立ってみました。すると、そこにはかわいい人がいます。初めて見るようなかわいさでした。

 全身を見てみると、私は痩せて、スラっとしていました。テレビに出てくる女優のようです。

「ありがとう」

 もう女の人はいませんが、私はそう言いました。


 n月n日


 今日も女の人が来ました。今日も同じことを言います。

「あなたの一部を差し出せば、あなたの願いを叶えましょう」

 今日もお願いをします。

「わたしに、きれいな彼氏をください」

「それなら、あなたのしこうの一部をください」

 わたしには意味がよくわからず、それをOKしました。

 すると、わたしのとなりに、きれいな男の人がいました。テレビで見る、俳優さんみたいです。すごくきれいでした。

 男の人は、わたしに、好き、と言いました。すごく、うれしかったです。

 男の人はわたしにキスをしてくれました。始めてのことだったので、すごくはずかしかったです。でも、うれしかったです。

 女の人はもういませんでした。また明日、来てくれるのが楽しみです。


n月n日


 今日も来ました。女の人です。また同じことを言いました。

「あなたの一部を差し出せば、あなたの願いを叶えましょう」

 わたしは何をお願いしようかまよいました。いっぱいまよって、お願いをします。

「おっきい家をください」

「それなら、あなたのひふかんかくを私にください」

 ひふかんかく?どういう意味なんだろう。だけど、わからないものなら、きっと大事なものじゃないと思います。なので、だいじょうぶです。と言いました。

 今日はさむかったのに、何もかんじなくなりました。あつくもないです。

 おうちがおっきくなりました。走りまわることもできます。

 走ってるときにころんじゃったけど、いたくなかったです。女の人は、二つのいいものをわたしにくれました。

 男の人は、家がひろーいって、よろこんでいました。わたしもうれしいです。

 女の人はいなくなりました。また明日も来てほしいです。


n月n日


 今日も女の人が来ました。また同じことを言います。

「あなたの一部を差し出せば、あなたの願いを叶えましょう」

 昨日一日かんがえて、わたしにはお願いがありました。

「わたしのきらいな人たちを、いなくしてください」

「それなら、あなたのりょうめを私にください」

 りょうめって、なんだっけ。わたしはお願いしました。

 目が見えなくなりました。まっくらです。思い出しました。りょうめって、りょうめのことだ。

 だけど、これできらいな人たちは、みんないなくなった。うれしい。

 男の人がわたしをおふろにつれてってくれたり、日記ちょうとえんぴつをもたせてくれたりしました。ありがとうと言いました。

 また明日も、きてほしいな。


n月n日


 今日も女の人がきて、わたしはよろこびました。すがたは見えないですが、声はあの女のひとのものです。

「あなたの一部をさし出せば、あなたの願いをかなえましょう」

「おいしいアイスがたべたいです」

「それなら、あなたのしょうきを私にください」

 わたしはみとめました。

 あいすがおいしい。

 わたしは、おいしいものをたべて、うれしいです。

 男のひとも、たべたい。きれいな人だから、おいしそう。

 どこにいるんだろう?

 おとこの人のこえがきこえます。そっちに行くと、声がおっきくなります。

 声のほうに手をのばします。男の人がこえをだします。つかんだ。

 おいしかった。


n月n日


 きょうもきました。

「あなたのいち部を差しだせば、あなたの願いを叶えましよう」

「おいしいものいっぱいたべたい」

「それなら、あなたのすべてを私にください」

「いいよ」

「さいごに書きたいことがあったら、かいてください」

 おんなの人は言います。たぶん、わたしのにっきがある。

 わたしはそこに、昨日のこともかいた。

 きょうのぶんも

 おんなの人にいった。

「かいたよ」

 いいます

 あなたのすべてをもらいます

 おんなのひとはいっ

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綺麗な女の人が来ました ぽぽ @popoinu

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