悪役令息、悪を演じる

カール＝ハインツ・フォン・デューラーは公爵家の嫡男である。
地位と実力を持つ彼は尊大にして傍若無人だ。
そんなカールの機嫌を損ねては一大事。
彼の周りにいる者たちは、ある者は恐れながら慎重に対応し、
またある者は可能な限り関わりを持たないようにしていた。

だがしかしカールは、とあるゲームの１キャラクターであった。
創作の中の登場人物だったのだ。

女神は、そのゲームをいたく気に入っていた。
しかしもっと楽しく、その世界を楽しめないものかと考えた。

彼女はある日名案を思い付く。
実際の人間を使ってゲームの世界を再現しよう、と。

それは、人の倫理も常識も無い、神の所業であった。

日本で死んだ一人の男の魂を彼女は拾い上げる。
そして彼に告げた。

悪役令息に転生させる、と。
もしカールのキ…続きを読む