かなりおすすめです。
多くの人に読んで欲しいので、いい所と離脱ポイントも含めてレビューします。
●要素
成り上がり・勘違い(?)・戦記物・謀略・発明・腹黒(不快感が少ないレベル)・恋愛・伏線回収・貴族社会
戦記物や封権制物の中では圧倒的に読みやすく、難しい言葉を極力簡単にしてあるが…きちんと厚みのある小説。
細かく大小のsugeeがあり、目標→計画→実行→達成が小気味よく続き時間が溶けます。
●時系列あらすじ
①転生主人公がややゆるめの中世ファンタジー世界観で硬派な権力闘争(ゆるめ世界観と硬派は矛盾していません)
ゆるめ3:硬派7
②急にあらすじ通りの乙女ゲーパワーが増してあらすじの展開が始まる。
ゆるめ7:硬派3
他の章と大きくギャップがあり、その温度差で恐らくここが最大の離脱ポイントです。ご都合というか不思議パワーが主に主人公以外に働きますが、ここ以外はかなりバランスがいいのでもし合わないと思っても耐える価値大ありです。理不尽と感じる展開もちゃんとプラスになって後々回収されるので、2周目に読むとむしろ面白かった。
③完全に新章といえる、開花した戦記物。
一種のエンディング後の世界ともいえるが、むしろここからが本番。
①と②があることで最大限に厚みを増した面白い物語が始まります。
ゆるめ3:硬派7
人によって違うかもしれませんが、③を最大限に楽しむために①②があると私は感じました。
久々の激推し小説に出会えました。
どのキャラよりも作者が一番頭が良く緻密で腹黒だと思います。
転生したらゲームの世界だった。
創作において何万作とあるありふれた設定だろう。
しかし、そんな設定でも腕のある作者が書いたらどうなるのか?
そんなの面白くなるに決まってる!
家の跡目を取ることすらできない子供が!
自国の王子の婚約者を略奪する!
これほど燃える展開があろうか!?
『世界一の女を手に入れることは、世界を手に入れることと同義だ』
そんな言葉があるように。
主人公アイザックは愛しい彼女を手に入れるために動き始めるのだ!
標的は国!
自分が王座に立ち、その上で彼女も手に入れんと!
読めない展開、暴れる登場人物達。
アイザックの成り上がり一代記をご覧ください!
ゲーム世界に転生した主人公は凡人で神から授かったチートなどはありません
顔や家柄そして秀逸な設定である三代の法則など血筋で受け継いだ物はありますが
ただの凡人では転生しても持ち腐れになるでしょう
ゲームの主人公でもなく知った登場人物でもありませんが
何者かになる意思を持ち逆境の中で努力をし知力は磨かれ未来は開いていきます
元凡人らしい脇の甘さから地位にみあう洗練されていく手際の成長も見所です
一つの行動に何個も意味をもたせたりいくつも策を連動させる知力は見ものです
個人の武勇など無いに等しいので人脈を作ったり流れを引き寄せようとしたり
武力や力押しに偏重しないアイデアや活躍の仕方が多いです
前世や周りとの認識のズレがシリアスでもコメディでも面白く仕上がっています
敵に回すと有能で脅威の陰謀家の酷いやつですが
無駄に人に噛み付いて横暴に振舞うタイプではありません
問題処理の過程で多方面に才覚を見せて活躍をします
プライベートでは身内に優しく人助けだってするし
すこし抜けた愛嬌もあり幼い頃からの絆の物語も見れます
後始末や教訓での成長や他者の近況ロングパスで回収などもされる伏線など
物語の設計がしっかりしています
転生者でも主人公のような傑物にはなれるとは想像もしない成り上がりです
他と較べてどうこう言うのも、嫌らしいかも知れないが。事実として言えば、傑作は、そうそう無いから傑作である。「なろう」小説を読んでいて、本当にごく稀に、ページをめくる手が止まらない作品がある。その時には、知名度などでそこまで高く評価されていない(ように見える)作品であっても、おいおい評価が追い付いてゆく、そんな作品は何作か読んできた。いわゆる、読者である私を自分で褒めてあげたい案件である。
「いい身分だな。俺にくれよ。」は、主人公アイザックがまだ侯爵家の跡目争いをしている時から読み始めた。以来、更新が一番待ち遠しい小説だ。
大袈裟ではなく、この作品を読むために生きているような気がしている。
「なろう」の累計ランキングで何位に入っているのか、なんと累計300位にも入っていない。これはどう考えてもおかしい。この作品を持ち上げるために他を貶すのは、作者には迷惑なことだろうが、思わずそうしそうになるくらいの奇妙さだ。ランキングを拒否しているのか、何かロスチャイルド家が暗躍するような国際的な謀略が背後にあるのか。そう考えざるを得ないほどの奇妙さだ。
「なろう」作品200作以上読んできた私に、TOP10を選べと言われればこの作品は入る。TOP5をと言われても入ってくるし、TOP1を、と言われれば、「無職転生」と「本好きの下克上」とで迷いながらもこの作品を推すかも知れない。
そうした読者である私にとって、この作品の「知られなさ」具合は、地団駄を踏むくらいに怒りを覚えるものだ。
中国人が勝手に翻訳して、中国語のwebに勝手にアップロードした事件もあったが、作者には迷惑なことだろうが、私は思わずその中国人の選別眼を褒めたくなった。著作権云々を別にすれば、彼らも翻訳する労力にそぐわない作品は翻訳しないだろう。
こんなのがアニメ化までしてと、ネガティヴなことは言わないように心がけていても、つい言ってしまう、そう言う凡百の作品は、海賊翻訳の餌食にはなっていないのだ。海賊たちはある意味、目利きでもある。
まだ読んでいない人たちは、幸福である。読書に溺れると言う根源的な快楽へ、ようこそ。