『探し物の穴』 シナリオ版
掌編小説『探し物の穴』は、400字詰め5枚のシナリオから、10枚程度の掌編小説を書き起こす練習で執筆したものです。
プロットを長々書くよりも、シナリオを起こしてみるほうが原稿量の目安にしやすくて良いですよといった話を見かけて、試した次第です。
参考にした記事には、だいたいシナリオから2倍程度になるとありましたが、なるほどその通りでした。
もっと長いものになった時はどうなんだろう? まだよく分かりませんが、書きやすいは書きやすいなと思います。
以下は、掌編の元になったシナリオです。
登場人物の名前は仮で、本文を書き起こすときに決めています。
シナリオの書き方はネット調べの見様見真似の素人芸なので、その辺はご容赦。
シナリオから漫画にでもしてみたいと思った方いらしたら、どうぞご自由にと思います。私も練習がてら書いたものなので。
マンガにすると何ページになるのだろう?
私としてはつげ義春や伊藤潤二や丸尾末広とか……そんなイメージです。
****
登場人物
A男(20)大学生 B子の彼氏
B子(19)アルバイト A男の彼女
舞台
〇A男の部屋
ワンルームアパートの一室
1頁
〇A男の部屋
A男、部屋でL字型の棒を一組持って、うろうろしている
入ってきたB子がいぶかしみむ
B子「何してるの?」
A男「探し物」
B子「うろうろしてるだけじゃん?」
A男「ダウジングって知らない?」
B子「だう……?」
A男は棒を持ってあちこちしながら
A男「頭で念じてさあ、見つけたいものがあると……」
B子は呆れた顔をして見ていると
ふいにA男が持つ棒が内側に閉じる
A男「お、こっちかな?」
A男、押し入れに向って歩き出す
B子「何を探してるわけ?」
A男、振り返らず押し入れを開け屈む
B子を無視し押し入れに首を突っ込む
A男「今日はこのあたりなのか……」
2頁
B子は少し声を荒らげて
B子「ちょっと、無視すんな」
A男「あったあった、お前も見てみる?」
A男、押し入れに身体を半分入れたまま、B子に手招きをする
〇同 押し入れの中
A男とB子ならんで穴の前にいる
穴の奥に裸の女がいてうろうろしている光景が見える
A男「ほら、面白いだろう」
B子「やめなさいよ、これ覗きじゃない」
A男「覗きじゃないって。覗きだけど」
B子「隣の人でしょ?」
A男「隣は空き部屋だよ。誰も住んでない」
B子「ウソばっかり。人がいるじゃない。家具だって……」
A男「あ、そろそろ変わる時間だ」
B子「え?」
穴の奥がぼやけたとたん、今度はスーツを着た中年の男がばたばたとしているのが見える
3頁
気味悪がったB子が押し入れの外に出ていく
A男が後ろから引っ張られる
A男「お、おいっ、よせよ面白いところなのに」
〇A男の部屋
A男とB子、向かい合って正座
B子がA男を説教じみて問いただす
B子「ちゃんと説明しなさい」
A男「俺にもよくわからないんだ」
B子「押し入れの中の穴を探すって、どういうことなの?」
A男「ああ、それか。毎回場所が変わるんだよ。こないだは、机の引き出しの中で」
B子「いったい何が見えてるの?」
A男「よくわからないけど……今日のはたぶん、以前隣に住んでた人じゃないかと思う」
B子「今日のは?」
A男「机の中なら、この部屋が見えたり」
4頁
B子「この部屋だけなの? 他の部屋からはどうなの?」
A男「そんなこと知るもんか。すみません、あなたのお部屋に覗き穴はありませんかなんて、聞けるか?」
B子「この部屋だけ特別って保証ないでしょ。今だってもしかして……」
天井を見上げるB子。開いた穴を見て硬直する
気がついたA男が天井の穴を見上げる
A男「マジかよ……あれ?」
穴の奥暗がりの中で光る目と目が合う
穴の中の眼が驚いて暗がりに消える
B子「やだ……覗かれるんじゃない」
A男「そうみたいだな」
B子「なに呑気にしてるの? 昨夜の私たちだって……」
口ごもるB子(夜の営みを思い出して)
A男「……ちょっと興奮するよなあ」
5頁
男がニヤリと笑う
女を抱き寄せて愛撫を始める
B子「ちょっと、ヤめてよ……あ、や、うふ……」
暗転して時間経過
〇A男の部屋 夜
裸のまま仰向けで寝ている男女
見上げる天井には穴はない
A男「お前、すごかったなあ」
B子「…………」
A男「見られてると思ったら、すげえ興奮しちゃった」
男が女の顔を見る
女が恐怖の表情を浮かべている
B子「あんた、その目……」
A男「眼が、なんだ?」
A男の両目にぽっかりと真っ黒な穴が開いている
眼の奥で、何人かの人たちがB子の顔を覗き込んでいる
<了>
探し物の穴 まさつき @masatsuki
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