次期アメリカ大統領は……

カイ艦長

アメリカ大統領選による相場環境の変化

 アメリカ大統領選は、現時点でトランプ候補がややリードしていると語られています。

 アメリカの情勢調査ではハリス候補が若干有利と見ているようです。

 情勢調査に参加した約4割がすでに投票を済ませ、ハリス候補が8%リードしている。しかし、これから確実に投票に行くと回答した有権者はトランプ候補に入れる人が多いとされる。これ、パーセンテージがわからず、単に「多いとされる」と評しているのです。




カマラ・ハリス候補が勝てば


 食料品価格や住宅価格の低減により、中流以下の家計が楽になる。大企業や高額所得者への課税強化と子育て家庭への税控除拡大。

 輸入品に対して種目別に課税を強化する。種目別課税なため、現時点でどの産業が強くなるのか見通せない。


 ウクライナを支え、イスラエルとパレスチナの共存、アメリカの覇権を維持する。つまり同盟国との関係を重視する。ただしトランプ大統領との舌戦とバイデン大統領の施策により日本の防衛費GDP2%への増額は要求するだろうから、防衛産業に需要がありそう。


 再生エネルギー推進だが、シェールガス利権に配慮している。環境にどこまで配慮するかで、クリーンエネルギーの需要が変わる。電気自動車へのシフトが進むかは未知数。




ドナルド・トランプ候補が勝てば


 総額数兆ドルにのぼる大規模減税だが、富裕層が恩恵を受けるだけ。富裕層がさらに豊かになる。ハリスよりもトランプの財政のほうが赤字は拡大する。

 ほとんどの輸入品に高い関税を課す。このため、日本企業でも輸出業は株価が渋るかもしれない。


 世界中の紛争からの撤退表明。ロシアと交渉して24時間でウクライナ終戦へ(プーチンが喜ぶ案を提示か)。イスラエルを強力に支援するが、パレスチナの今後には言及せず。全米ライフル協会の支持を取り付けているので武器関係の株式が上がるかも。日本の防衛もまず日本が戦うべきだとの主張なため、日本の防衛産業の需要が高まるかもしれない。


 温暖化に関する環境保護策を何百も撤廃してきた。発電所や自動車などの排ガス規制すら撤廃。さらに電気自動車を批判(電気自動車大手テスラのイーロン・マスク氏は自社のために抱きつき作戦でトランプの選挙応援をしている)。

 自動車関連ではトヨタ自動車がアメリカ国内に工場を作り、生産したプラグインハイブリッド車が好評なため、勢いづくかもしれない。


 これにより、どちらが勝っても強いのは、防衛産業ですね。

 ただ、ハリス候補はどの国の兵器でもGDP2%の防衛費を達成すればよしとするが、トランプ候補は「アメリカの兵器を買え」と言ってくるでしょう。




これとは別に


 ハイテク産業が多いシリコンバレーは民主党支持が優勢なため、ハリスが勝てば半導体関係の株価は上がると想定される。

 自動車産業が多いラストベルトは共和党支持が優勢なため、トランプが勝てば自動車関係の株価は上がると想定される。ただしアメリカメーカーや米国に生産拠点を置くメーカーに限る。




どちらが新大統領に


 鍵を握るのはスイング・ステートではなく、共和党内の反トランプ派がどれだけいるか、です。

 民主党内の反ハリス派よりも多いと推定されていて、その票の行く末次第でハリス圧勝の目も出てきます。

 そうなったとき、トランプ支持者がまた議会襲撃などという浅はかなことをしでかす可能性もあります。

 それに嫌気が差している反トランプ派がどれだけハリス候補にまわるか、無投票になるか、ですね。


 今のアメリカ報道は反トランプ派と反ハリス派を計算に入れていないので、どちらが勝つかの有効な指標が出てこない。


 ただ「Make America Great Again」に共感する「白人男性至上主義」の有権者は、自己の復権を懸けてトランプ支持にまわるので、多様化した社会においては若干トランプ候補不利が考えられます。


 前々回のヒラリー・クリントン候補対ドナルド・トランプ候補のときは、「白人男性至上主義」がトランプに乗ったため薄氷でトランプ勝利。

 前回のジョー・バイデン候補対ドナルド・トランプ候補のときは、過激なだけだったトランプの化けの皮が剥がれて薄氷でバイデン勝利。

 そして今回。バラク・オバマ以来の有色人種で、ヒラリー・クリントン以来の女性候補。女性の権利向上、LGBT運動などで社会構造が変化している中、「白人男性至上主義」がどこまで票を固めるか。


 どちらが有利か。私感だと民主党カマラ・ハリス候補が有利だと見ます。


 ただ、トランプ派の行動が読めないので、どんな妨害工作に出てくるのか。

 不在者投票箱への放火なんてことも実際に起こっています。

 民主党支持者は仕事を休めない労働者が多いため、多くが不在者投票・郵便投票を利用しているとされています。

 これをドナルド・トランプ候補は「違法だ」とか「不正だ」とか言うわけです。感化された支持者が不在者投票箱に放火したのではと見られています。


 つまり悪目立ちするトランプ候補に投票しようと考える人は予想以上に少ないのではないか。

 今回の選挙戦を最後に政界引退を表明していますから、トランプ候補はもし当選しなければ数々の訴訟リスクにさらされます。

 自己の保身を図るために、トランプ候補は大統領にならなければいけないわけです。そしてルールにないのをいいことに、自分に対して恩赦を出す可能性もあります。


 それが透けて見えるため、トランプ候補は予想以上の逆風にさらされています。


 これだけの逆風に挑戦する姿勢は素晴らしいと思いますが、ほぼ悪口と嘘しか言わないので、以前の支持者が今も支持者かどうかは甚だ疑問です。




結論


 ということで、反トランプ派のほうが多いと見て、私はカマラ・ハリスが初の女性大統領になるのではないかと見ています。


 トランプ候補は「不法移民のプエルトリコ人はゴミだ」と悪口を言い、応援に来たお笑い芸人も「プエルトリコはゴミの島」と大失言しました。

 そしてバイデン大統領が「共和党員こそゴミだ」と言ったとトランプ陣営は騒ぎました。

 実際には前後の文脈から「共和党で演説したお笑い芸人こそゴミだ」と言ったようです。しかも、これで叩かれたのはバイデン大統領であってカマラ・ハリス候補ではない、というのもハリス候補に有利です。


 ただ、株式相場はおそらくカマラ・ハリス当選を織り込んで形成されていると思われるので、実際にハリス候補が当選したら相場は下がるでしょう。

 まあ予想外でトランプ候補が当選しても下がるんですけどね。

 納得の下げになるか、失望の下げになるかの差です。


 答え合わせはいつになるかな。

 アメリカ時間の11月5日火曜に投開票され、速報では即座に大勢が判明しますが、アメリカは広いので、ニューヨークが開票しているときにカルフォルニアではまだ投票できる、という事情もあるため、どういう結果になるのかは通常3日、長いと1週間を超えます。


 まあ今までの私の予想では、ヒラリー・クリントンが勝ち、ジョー・バイデンが勝ち、カマラ・ハリスが勝ちという、民主党寄りになっていますが。

 と言うより、ドナルド・トランプが受け付けないだけなんですよね。

 『ドラえもん』のジャイアンという雰囲気で。ときに映画版のジャイアンになることもありますが、基本はテレビ版のジャイアンですから。


 スイング・ステート以外も崩れるのではないかと見ていますが、果たして。




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