集中力が無い僕の、集中する為の環境
星咲 紗和(ほしざき さわ)
本編
普通ならば人は20分、30分、場合によっては数時間もの間、集中して作業に取り組めると言われています。しかし、僕は違います。集中力を保つことがとにかく苦手で、5分も保てないことが普通でした。少しでも気になる音がすると意識が途切れ、頭の中で考えが散らばってしまいます。これが日常的に続くと、やはり効率も悪くなり、自己嫌悪に陥りがちです。そういった悩みの中から、「集中するための環境」を作り上げることに時間をかけるようになりました。
まず、僕にとって最も大切なのは「静かな環境」です。僕は音に非常に敏感で、時計のカチカチという音や誰かの話し声がすぐに気になってしまいます。このため、なるべく無音に近い環境を作ることが重要です。最近ではノイズキャンセリングイヤホンを取り入れ、周囲の雑音をカットしています。このイヤホンをつけて、静かな環境音やリラックスできる音楽を流すことで、少しでも自分の世界に集中できる空間を作り出しています。音楽も歌詞のあるものではなく、歌詞のないインストゥルメンタルや自然音を選ぶようにしています。歌詞があると、どうしても歌詞の内容に意識が引っ張られてしまうためです。
次に大切なのは、「ひとりになれる環境」。人の気配や動きにも敏感な僕は、誰かがそばにいるだけで集中が乱れることが多いです。だからこそ、ひとりになれる環境が必須です。職場や作業スペースでは、なるべく人の少ない個室や静かな場所を選ぶようにしています。周りに人がいると、その人の動きや声に気が散ってしまい、頭の中で雑念が生まれやすくなるのです。ひとりになることで、ようやく自分の作業に向き合える環境が整います。
また、「周りが気にならない環境」を保つために、視覚的な刺激を減らす工夫も欠かせません。デスクの上はなるべく整頓し、必要最低限のものだけを置くようにしています。余計なものが視界に入ってくると、頭の中がそのたびに散らばってしまい、集中が続かないのです。僕は特に、カラフルなものや目立つものに注意が向きやすいので、作業スペースにはシンプルなものを中心に配置しています。デスク周りの色味もなるべく落ち着いた色合いに統一し、視覚的な刺激を減らしています。
「静かでひとりになれる環境」が整っても、集中を維持するのは簡単ではありません。そこで僕が役立てているのが、時間を区切った集中方法です。僕は「ポモドーロ・テクニック」という方法を取り入れています。これは、25分間集中して作業を行い、5分間休憩を取るというサイクルを繰り返す方法です。5分も集中が続かない自分にとって、この短時間の集中を繰り返すことで、無理なく作業に取り組むことができるようになりました。5分ごとに小さな休憩が挟まれることで、集中力が途切れてしまっても立て直しやすく、自己嫌悪に陥ることも減りました。
この「短時間集中と休憩」のリズムが、自分にとって意外にも効果的でした。休憩中には立ち上がって体をほぐすストレッチをしたり、温かい飲み物でリフレッシュするようにしています。これによって、身体の緊張もほぐれ、気分もリフレッシュするので、次の集中時間に気持ちを切り替えることができます。集中力が途切れてしまう僕にとっては、無理に長時間集中するよりも、短時間の集中と休憩を繰り返す方法が合っていると感じています。
そして「周りが気にならない環境」を強化するために、スマートフォンの通知をオフにすることも大切なポイントです。通知音や振動があると、それだけで集中が途切れてしまいます。そこで、作業中は通知を完全にオフにし、スマホを見えない場所に置いておきます。こうすることで、デジタルな刺激からも解放され、ひとつの作業に集中しやすくなるのです。
さらに、「香り」と「照明」も集中力を支えるための工夫のひとつです。僕はラベンダーやベルガモットの香りがリラックス効果があり、自分にとって集中しやすい空間を作り出してくれると感じています。そのため、アロマディフューザーを使って、作業スペースにほんのりと香りを漂わせています。照明も、明るすぎると目が疲れ、暗すぎると眠気が出てしまうため、調整できるランプを使って最適な明るさにしています。暖色系の照明は特に目に優しく、集中しやすい環境を整えるのに役立っています。
これらの工夫を積み重ね、「静かな環境」「ひとりになれる環境」「周りが気にならない環境」を少しずつ作り上げていくことで、5分も保てなかった集中力が、今では少しずつ持続するようになりました。完璧ではありませんが、少なくとも以前よりも作業に向き合うことが楽になり、自分の成長を感じることができます。
集中力がないことは、生きていく上で確かに不便で、時には自分を責めることもあります。しかし、こうした環境作りや方法を取り入れることで、少しでも自分に合った集中環境を見つけることができ、効率が上がるとともに、自己肯定感も少しずつ高まってきました。集中力が持続しないと悩んでいる方がいたら、ぜひ一度、自分に合った「静かでひとりになれる、周りが気にならない環境」を試してみてほしいと思います。
集中力が無い僕の、集中する為の環境 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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