第4話 幸せの食卓


 『幸せの食卓』からの対応は速く、早速食品を分けていただいた。中には野菜があったり、お菓子があったりと種類は想像以上に多様だった。


「お、ポテチあるよ、姉ちゃん」

「いただいたら?」

「もち」


 弟は久しぶりのポテチの味に大感激。


「お母さん、じゃがいももニンジンも玉ねぎもあるよ。安めのこま肉買って肉じゃが作ろうよ」

「そ、そうね。でも本当にいいのかしら」

「ここは寄付してくれた人に感謝して美味しくいただこうよ」

「そうね。よーし、今日はお母さん、頑張っちゃうよ!」

「私も手伝う!」

「俺も俺も!」


 その日の夕ご飯はお母さんと私と弟の手作り肉じゃが。忘れかけていた味が蘇る。美味しかった。泣いた。笑った。こんなにも幸せな食卓をいつの間にか忘れていた。今、こうして食卓を囲めるのは食品を寄付していただいた知らない誰かのおかげ。


 いただきますやご馳走様は前より気持ちを込めて言えるようになった。食べられることの幸せを精一杯味わう。それがせめて私にできること。そして、食べ物に生かされていることを実感し、日々を生きていく。


 大人になったら私、誰かの幸せな食事を守りたい。誰かの大切な時間を守りたい。だから今は一生懸命に食べるんだ。食べることで学ぶんだ。知るんだ。食事の大切さを。


 それでは、今日も全ての人に感謝して、いただきまーすっ!



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幸せの食卓 とろり。 @towanosakura

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