第10話 あめりかないず

 あめりかに着いたわたしは、さっそく銃を買うことにした。



 なにせ、ここはあめりかなのだ。



 銃もなしに外を歩くなど自殺行為、常識だ。



 早速、銃を求めて周囲を見渡す。ズラリとならぶ自動販売機には、大小の拳銃弾や散弾、ライフル弾などが売られていた。



 道路沿いには無数の屋台が出店していて、その大半は銃を扱っていた。



 屋台を巡る人たちも、ライフルを背負っていたり左右の腰に拳銃を挿したりしている。中には、ガトリングガンを、大量の弾とともに背負っている者すらいた。



 流石は、あめりか、重武装だ。



 わたしが関心を示したその時、エンジン音を響かせて、群れを成した巨大なトラックが突っ込んできた。


 いや、トラックではない。戦車だ。


 古いタイプのモノだ。

 それ故に構造が単純で、エンジンから漏れ出た油を垂れ流しながらでも走れるようだ。


 古き良きアメリカ製といったところだろうか。堅牢で素晴らしい造りだ。



「なっちゃあ、いないな」



 わたしが感心していると、不意に、小さな呟きが耳に滑り込んできた。

 


 声のした方向へ顔を向けた。


 マグナムを脇に釣ったスーツ姿の大柄な白人男性が、おおげさに肩をすくめていた。



「あなたは?」


 わたしは、反射的に話しかけていた。


「通りすがりの愛国者さ」


 大柄な白人男性は、白い歯をきらめかせて、得意気に言った。





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散策奇 呉万層 @DIE-SO-JYO-

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