日本の再興

山川一

日本の再興

 私が思うに、2024年現在において、あらかた必要な要素は出揃ったと思う。すなわち、西欧の拡張的消費主義がもたらす豊かさとその方法では解決し得ない問題。移民や少子化の問題を西欧的方法論で解決できないのは、それらの問題は人間の側面のうち、自然物的な側面から生じる問題だからである。自然物と融和する問題を解決しうるのは日本神道の復活をおいて他にない。日本は戦後アメリカの占領とそれによる神道信仰の破壊から立ち直り、再度、日本の信仰を取り戻さなければいけない。そして、新しい神道信仰は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の一神教や先進的市場消費社会との融和をはかりつつも、少子化並びに地球資源に関する持続可能性に関する問題を解決するものでなければならない。

 2015年に国連サミットで採択されたSDGsは、持続可能な開発目標ということになっている。これは地球上の各国が地球上における人類文明の持続可能性にある程度共通の問題意識を持つことができたことを示している。一方で、その内容は真に持続可能性を追求しようとしたものではなく、西欧の拡張的消費主義を名目上持続可能に見せようとしたに過ぎない。そのため、先進諸国はSDGsを持続可能性をうたいながらも、実質的に西欧が持つ拡張的消費主義を押し広げるためのパワー・ポリティクスの道具として使った。その結果が、電気自動車問題であり、自動車における地球上の持続可能性を真面目に考えていたのは日本のトヨタだけであったという有り様であった。

 幸運であるのは、このトヨタの事例のように日本のうちの一部分は、戦前の日本列島とそこに住む人々が持っていた真に持続可能な考え方と取り組みをまだ若干ながら残しているということである。しかしながら、戦前に日本が持っていた神道的精神と真に持続可能な生き方を規定する文化は、戦後にその大部分が破壊され、少子化と移民問題を含む西欧的価値観がもたらす諸問題を引き込むはめになっている。

 そうかと思えば、隣の中国は一帯一路政策で、発展途上国に大きな支援をする名目で、途上国の港湾施設や雇用を中国のものとして吸収し、さらには不完全なインフラ整備をなにも問題ないかのように実施し、ゴーストタウンを生み出し、発展途上国に大量の借金を押し付けたあげく、なんの責任も取ることができない。

 このような大国に挟まれる日本は、アメリカと中国がもたらしたこれらの諸問題の解決と後始末をしなければならない。そうでなければ周辺の弱小国家群は、地球上の国家として尊重されることはなく、また地球上の国家の一員としての自覚を持つこともできず、さらなる諍いと争いと自然環境の破壊に巻き込まれ、抜け出すことができなくなるだろう。韓国が少子化で再起不能になる前に、なんとか新しい先進的持続可能文明を構築しなおさなければならない。

 とはいえ、基本的に、日本はアメリカと中国ができなかったことを順次解決していけばよいとも言える。

 第一に、イスラム社会との融和

 第二に、日本神道の再興と少子化の克服

 第三に、途上国インフラの開発援助

 イスラム社会との融和は、アメリカがうまくできないというだけでなく、日本神道を再構築するための基盤である。現在の神道はすでにGHQによって破壊されており、欧米的消費主義に飲み込まれてしまっている。イスラム社会と融和する過程で、日本人はあらためて日本人の持つべき信仰を見直し、神道を再興することができるだろう。実際のところ、キリスト教に比べると、イスラム教の信仰は戦前の日本信仰によく似ている。どちらにせよ、日本において少子化問題を放置したままであれば、移民問題によってこの問題に直面せざるを得ない。

 そして、イスラム教にできる程度の少子化の克服は、新しい日本神道と先進国のあるべき生き方によって実現できるはずだ。この過程で、拡張消費主義社会と決別する部分を持ちつつ日本的持続可能社会を日本列島に構築していかなければならない。

 最後に、日本自身が日本列島上において先進的持続可能社会を構築しつつ、途上国のインフラ開発援助を旺盛に行い、一帯一路で破壊された途上国を再生しなければならない。現在の日本においてもインフラ開発を行っており、新幹線の輸出などを行っているが、これらの途上国インフラの整備は、途上国のインフラを整備する業務を日本が受託する過程で、日本自身が過剰に富を得るようなことになってはならない。拡張的消費主義から脱却し、真に持続可能な先進的社会を構築するためのインフラ整備支援でなければならない。

 つまるところ、日本は仮に少子化を脱出し、新しい成長段階に達したとしても、覇権国家を目指す必要はない。たんに地球に融和的な文化国家の成立を目指せばよい。江戸時代的な平和を鎖国を越えて地球上に拡張しようとするものである。そこには当然ながら隣人たる発展途上国への真に持続可能な支援を含み、また、真に多文化共生な風土と制度の構築を含む。そのことが、西欧の拡張消費主義では解決できない移民問題をさえも解決してゆくだろう。


 もういいだろう。1945年8月14日に日本がポツダム宣言を受諾してから、アメリカの資本主義に飲み込まれ、金儲けを尊び、ありとあらゆる消費を享受し、アメリカ的幸福を見出してきた。


 もういいだろう。葉の一枚、虫の一匹にも神が宿り、自分たちが恩恵を受けた事物に感謝し、大切にする日本古来の神道に戻ってもいいだろう。


 もういいだろう。ありとあらゆる幸福を享受し、ありとあらゆる消費をし続け、その結果、自分たちの子孫をも消費し続ける生活を、先進国の崇高な生活とみなすのはもうやめてもいいだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日本の再興 山川一 @masafuro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画