叔母が亡くなります!

崔 梨遙(再)

1話完結:1400字

 今年、2024年の7月、僕の母方の叔母が亡くなりました。59歳から膠原病で苦しみながら生き、入退院を繰り返しながら息抜き、76歳で亡くなりました。



 そして先日、10月の初旬、父方の叔母が大阪に立ち寄りました。兄と姉が遠方に住んでいるため、僕と父が会いました。大阪らしく、夕食はお好み焼きをと思っていたのですが、叔母の体調不良で“脂っこいものは食べられない”と言うので、アッサリした和食に変更になりました。


 実は、父方の叔母とは1回しか会ったことが無かったんです。中学3年生の時でした。母方の祖母と叔母は関西在住でしたので会うことは多かったのですが、父方は九州でしたので、距離的に会うことが少なかったんです。


 前に叔母と会ったときから30年くらい時間の経った再会でした。ところが、叔母からは、


「はじめまして」


と言われました。中学3年生の時に会っていたことを、叔母はスッカリ忘れていたのです。ちょっとショックでしたけど、まあ、さほど気にはしませんでした。


 しかし、叔母は過去に一度会っていたことを知り、驚いたらしく、“忘れていてごめん、ごめん”と言い続けていました。いやいや、“叔母さん、そんなに気にしなくてもいいのに”と思いました。


 父がトイレに行っている間に、叔母から聞かれました。兄のこと、姉のこと、兄姉の仲のこと。僕は兄姉とは腹違いなので、心配してくれていたみたいでした。


 ちなみに、叔母夫婦は美男美女でした。さすがに叔母も76歳ですので、もう美女とは言えませんが、叔母の娘、従姉妹は僕と同じ歳で、中学3年の時に1度会っただけですが、めちゃくちゃ美人でした。某元プロ野球選手の甥っ子と結婚したような記憶があります。甥っ子じゃないとしても、相手は某元プロ野球選手の親戚です。叔母から最近の従姉妹の写真を見せられました。僕と同じ歳のアラフィフなのに、相変わらず美人でした。なのに、僕はブサイク、どういうことなのでしょう?


 余談ですが、父の兄の方の従姉妹とも僕は同じ歳です。中学3年の時に会ってから会っていませんが、そちらは、ビジュアルには恵まれていませんでした。



 翌日は、父と叔母、2人で大阪観光。僕は就職の面接でしたので、兄妹水入らずの時間を過ごせたことでしょう。


 ですが、その時に叔母が言ったそうです。“癌になった、もう長くはない、残りの人生は家族と過ごす”と。


 父は泣いていました。不思議なことに、たった2回しか会っていないのに、僕もショックを受けました。そして知りました、血の繋がりって強いものなのだと。会ってなかったのに、“叔母が亡くなる”ということで、こんなにショックを受けるとは思いませんでした。叔母が癌だと知って、それからモヤモヤする時間が多くなりました。1日経つ毎に叔母は確実に死に近付いている、そう考えるとモヤモヤする時があるんです。死を待つって、きっとツライでしょうね。


 でも、みんな同じなんですね。みんな、1日経つ毎に死に近付いている。



 今朝、父と僕に叔母からの手紙が届きました。


“2回目なのに、はじめましてなんて言っちゃってごめんね!”と書いてありました。


 そんなことは気にしていないので、少しでも長生きしてください、叔母さん!



 父と2人、今日も手紙を書きました。メールでも、電話でもなく、あえて手紙を書きました。美人の従姉妹の悲しむ顔は見たくないし、頑張ってほしいです。







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叔母が亡くなります! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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