最終話
それほどの間、気絶していたわけではないのだろう。
髪を撫でる感触で目が覚めた。
「オーウェンさん、大丈夫ですか?」
まだ素っ裸のままのエルプクタンが、穏やかな微笑を浮かべて髪を撫でてくれていた。
「明日、身体を洗って着替えたら……ああ、エルには僕の服を貸してあげるから。そうしたら、姪に挨拶しに行こう。帰ってきたよっていう報告と、それからこの人が僕の愛している人だよって報告のために」
オーウェンの言葉に、彼は目を丸くさせた。
「姪? オーウェンさんに姪がいるんですか?」
オーウェンはくすりと笑う。彼に教えなければいけないことは、まだまだたくさんありそうだ。そうだ、ミルクも紹介しなければ。翼が生えているちょっと変わった仔犬だけれど、受け入れてくれると思う。
二人で姪を訪ねれば、きっと姪もわかってくれることだろう。
オーウェンが幸せを手に入れたのだということを。
危ない暴君神がおっさん聖女にだけ優しいです 野良猫のらん @noranekonoran
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