「短歌の秋(10月)」投稿作品
塚本 季叡
期初月の 新人の目に 光差す 既存社員(わたしたち)が 失ったものよ
私が勤めているところは4月と10月に定期的で大規模な人事異動がある。そのため期初月は大幅に業務処理能力が乏しくなるため必然的に繁忙期となり、我が部署を経験したことが無い社員も何名か配属されてくる。彼らはまず忙しい中でも教育担当の社員から座学や実務の研修をきちんと丁寧に受けてから業務をすることになる。その社員達の新しい業務を覚えることに不安を抱きながらもワクワクと光り輝く目を見ると、かつて自分が配属されたときを思い出しつつも長年の経験からすでに失ったものがまだそこには存在しているようである。そう、それはこの繁忙期を乗り切るための体力であったり知識の乏しさ故から周りの先輩方に質問するときの遠慮深いコミュニケーションであったり必死にメモを取る姿であったりと非常に初々しいものばかりだ。
この歌にはそんな自分を含めた既存社員と新人社員との立場の対比を詠んでいる。そして初々しかった彼・彼女らが徐々に仕事に慣れていく時の流れも表している。今はまだ目の前の案件に時間を掛けている彼・彼女らが数か月後には頼もしい仲間として速やかかつ正確に業務をこなせるようになってくれるのが既存社員である私の秘かな願いでもある。
「短歌の秋(10月)」投稿作品 塚本 季叡 @love_violin_tea
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