第六話 後日談、ルカ様とずっと一緒ですわ

「ルカ様、所でさっきはなんであんな行動をとったんですの?」


「えっ?」


暫く大泣きしていたわたくしを、部屋に誰も入ってこないよう入室不可能な遮断魔術と音声遮断魔術を使い、不器用に一生懸命慰めてくださったルカ様に惚れなおしつつ、大分涙も枯れてきてなのでそう尋ねます。ルカ様は唐突な質問に戸惑っています。可愛いですわ。


「あんな行動って…?あれ、僕何かしたっけ。あっ、さっきの監禁発言?それとも急に押し倒したこと?勝手に勘違いして一方的に責めちゃったこと?それか不細工な僕がさらに顔を不細工にして泣き出したこと?えっ、こうして纏めてみたら僕色々とやばいことしてる…無理、死にたくなってきた…」


「ルカ様は死なせませんよわよ?ルカ様が自殺するぐらいならわたくしが殺して差し上げますわ。あとルカ様は不細工じゃないですわ。さっきの泣き顔なんてSSR級でしたし。ほんと、写真にして撮りたかったですわぁ、はあ、思い出すだけでも最高ですわ」


「えすえすあーる…?しゃしん…?何それ。」


「こっちの話ですわ。…それで、行動がなにか、だったたかしら。それなら押し倒したことであっていますわ。ルカ様女性の免疫なさすぎて手を繋いだだけで真っ赤になるというのに、初めてあんな距離詰めて、その上ソファドンまでしたじゃないですか。何でですの?」


「えっと…その、実はあの時余裕なくて…」


「余裕?」


「初めてカリナへの恋心を自覚したのに、カリナは倒れちゃうし、一晩で起きるって医者は言ってたのに丸一日起きないし。そんな時に、カリナが隠し事するから、頭真っ白になっちゃって、うう、ごめん…」


「いいえ、別に気にしてませんわ!ふふ、ルカ様ったら可愛らしいですこと。あ、睡眠の件は謝りますわ。大丈夫、もうしませんわ。小説なんかで妄想しなくても実物のルカ様とこうして両想いになれましたし!てことでルカ様、もう一回ソファドンして下さい。いえ、壁ドンでもキスでもオッケーですが。」


「そのソファドンと壁ドンて何!?あと、もうしないから!ていうかカリナ、近いよ、近いってば。ちょ、このままじゃ唇が当たっちゃぅ、うむっ!?」







――この王国に伝わる多くの偉人、その中に王国の魔術に多大な貢献をした魔術師がいる。彼の名はルカ・トーレス。部屋から一切出ることなく、決して表舞台に出ることは無かった彼と、彼の開発した魔術式を表に出すことに協力した兄のアレクと妻のカリナの逸話は有名だ。


その中で、ルカとカリナの情熱的で重い一途すぎる恋物語は、どこからか出版された小説と共に瞬く間に広がり、「影の英雄ルカと精霊姫」は、国民的な恋物語となっている――




★★★★★★★★★


裏設定に、


・トーレス伯爵家が侯爵家に上がったのはルカが開発した魔術式のおかげ。だからこそルカが次男で、何もしないでも離宮に籠り研究に励んだりして自由にするのを許している(勿論愛情もちゃんとある)。


・最後に出てきた「どこからか出版された小説」は、カリナが書いていたルカとの妄想小説を手直ししたもので、ルカの功績が認められたことでここで一気に好感度上昇を狙いアレクがカリナにルカの情報で釣って手に入れ、出版社に売ったもの。大ヒットした。


・離れの使用人は料理やら掃除をするだけで主人の世話をすることは無く、顔も殆ど見たことが無かった。けど、カリナが来てから一気に騒がしくなり、「はよくっつけ」とまで思うほど主人たちへの好感度が上がった。                           



等があります。



ここまで読んで頂いた方、本当にありがとうございました!!!

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陰キャなネガティブ魔術オタク様と婚約しましたが、彼がドタイプすぎて毎日が辛い @kumanonn

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