第五話 ルカ様の様子がおかしいですわ…
あの後、公爵様は息子の醜態を権力で揉み消したようでしたけど、人の口に戸は立てられません。今はわたくし達の話題が社交界で密かに囁かれていると、クスクス笑ったアレク様に教えて頂きました。暫くは
わたくしはあの夜会の後、丸一日ぐっすり眠り、アレク様と話しをした後…随分雰囲気が怖いルカ様に連行され、現在事情聴取を受けております。こんな怖いルカ様初めてで、ちょっと、いえかなり緊張してますわ。ルカ様なんで怒ってるのでしょう、わたくし何かしたでしょうか?ていうか隣、ルカ様私の隣に座っていますわっ…!いつもは向かい側なのに。ちか、結構近いですわね…ふわっ、いい匂いがしますわ…
「ねえ、なんで徹夜なんてしたの」
「う゛う゛…えーっと、い、色々ありまして…」
「正直に答えて。答えないと一週間話しかけられても無視するよ」「すみませんわたくしが悪かったですわちゃんと話しますからそれだけはっ…それだけはやめてくださいませ…!」
「えっとですね、じ、実は…は、恥ずかしながら、その……その…」
「……何、僕に言えないようなことなの。」
「うっ、言えないというより言いにくい、と申しますか…」
「……」
「ひゃ!?リュカしゃま!!??」
ルカ様がわたくしをえっ、これ待って押し倒すってやつではないですか!?いえ、これは壁ドン…?いや、ソファなのでソファドンでしょうかっ?あああ、テンパって思考が可笑しくなりますわ…!ルカ様、改めて見ると大変お顔がよろしゅうございますわ…!嫌われたくない一心でルカ様と触れ合うのは最低限だったのでエスコートでもないのに此処まで近づくのは初めてじゃあないかしらっ…!?
「ねえ、僕に言えないことってなんなのさ。君、もう僕のこと嫌いになったの?薄情じゃない、それは。あんだけ好き好き言っといてさ、僕の心を、こんなに、引っ掻きまわしといてさ…酷いよ。」
ぽろぽろと静かに涙を流すルカ様をわたくしは茫然と眺めました。泣いてる姿何て初めて…でもお美しいですわ…って、そんな場合じゃないですわ。ルカ様の言葉って、そ、それって……
「ねえ、僕に言えないことってなんなのさ。君、もう僕のこと嫌いになったの?薄情じゃない、それは。あんだけ好き好き言っといてさ、僕の心を、こんなに、引っ掻きまわしといてさ…酷いよ。」
ぽろぽろと静かに涙を流すルカ様をわたくしは茫然と眺めました。泣いてる姿何て初めて…でもお美しいですわ…って、そんな場合じゃないですわ。ルカ様の言葉って、そ、それって……
「ルカ様、わたくしの事好き、なんですか…?」
自分で口に出しといて途端に顔が真っ赤になります。ええ、茹蛸より真っ赤っか。ルカ様がわたくしを好きかもしれない、ええ、自意識過剰ですわ。でも…だって、こんな熱を帯びた、わたくしと同じ恋した人の瞳で、こんな、こんなの…わたくしのちっぽけな脳みそじゃあ、恋慕しか考えられないですわ…
「……そうだよ、悪い?」
ルカ様の言葉にひょあ!?っと変な声が出ました。ルカ様が、わたくしを好き?それって、それって…
「なんで、泣いてるの」
「え」
勝手に頬を伝って涙が零れます。嬉しい、その気持ちでいっぱいでした。自分だって自覚してます。こんな重い女、引かれるに決まってるって。それを分かった上で好きでもない女と一緒にいるルカ様は、はっきり言って異常です。でも、そんな所を含めて好きになった。一生叶うことのない、一方通行の片想い。でも、一緒にいられるだけで良かった。想いが叶わなくても、ずっと一緒にいられれば。
それが、夢みたいな願いが、叶った。嬉しくない訳が、ないのですわ。
「…そう、泣くほど嫌だったの。はは、何でだよ。なんで、今まで好きだって言ってくれたのに。言っとくけど、離すつもりなんて微塵もないよ。僕を本気にしたのは、僕のこんな醜くてドロドロしたこの想いを目覚めさせたのは君だ。だから、君が責任取ってよ。罵倒してくれて構わないよ、僕は今から君にそれだけの事をする。」
「えっ、ルカ様?ちょ」
「君を僕以外の奴なんかの視界に入れてやるものか、君を見るのは僕だけでいいんだ。君は僕だけをずっと見つめていてよ。その綺麗な瞳に、他の人間なんて映らせない。カリナ、君はよく言ってたよね。監禁しちゃうかもって。お望み通り監禁してあげるよ。逃げ出せないように鎖は付けるけど、大丈夫、きちんと生活環境は整えるよ。はは、気持ち悪いでしょ、こんなキモイ奴に捕まるなんて可哀想。でも、何度も言う通り君がわるい――」
「良いのですか?」
「…へっ?」
「えっ、それはわたくしがルカ様と四六時中居れてしかも生活環境も整ってて尚且つわたくしルカ様の物になるのです!?さ、最高すぎてお釣りがでますわ…」
「へ、えっ?なんか思ってた反応と違う…えっ、怖がられてキモがられると思ったのに。罵倒される覚悟だったのに、なんで?突然もう好きでもないやつから監禁するなんて言われたらもっと、こうなんか、嫌がるでしょ?」
「そこですわ!なんでわたくしがルカ様をもう好きじゃないなんてお考えに至ったのですか!?」
「え?だって、言えないことあるって…あと、告白の時泣いたから、嫌、なのかなって…」
「もうっ!言ったじゃないですか。言えないって言いにくいことだって。じ、実はですねっ?わたくし、ルカ様との恋愛小説を、書き初めまして…」
「――へ」
「ルカ様がわたくしの事好きになったらどうなるのでしょうか、とか考えていたんですっ!因みに妄想のルカ様もわたくしの趣味で大分ヤンデレだったので現実との差異の無さに嬉しさと戸惑いと戦々恐々さが入り混じってますわ!」
「え?えっ???ちょ、待って、え、どういうこと、え、じゃあ告白で泣いたのは」
「嬉しかったに決まってますわ!ルカ様鈍感すぎますわ!」
「――じゃあ、全部、僕の勘違い?」
「ええ、わたくしは今でも、これから先も、何度生まれ変わってもルカ様のこと、愛してますわ」
「……本当に、愛、重いね。」
「ふふ、お互いさまですわ。」
「——好きだよ、カリナ。愛してる。きっと僕は君の事を永遠に君を離せない。それでも…それでも、僕と一緒にいてくれますか」
「!」
頬を仄かにピンク色に染めらせ、真剣な表情でルカ様はわたくしにプロポーズします。また、一滴自分の頬を流れていく涙をグイっと拭い、彼に思いっきり抱き着いた。
「!?か、かりな…!?」
「わたくしも」
「わたくしも、ルカ様のこと、愛していますわ。……ふふ、三か月前はルカ様と両想いになれるなんて想像もできなかったですわ。嬉しいですっ…!ふうっ、えっぐ、ひっく」
最初は突然抱き着いてきたわたくしに真っ赤な顔で戸惑っていたルカ様ですが、嗚咽を出して泣き出したわたくしを不器用にポンポンと優しく頭を撫でてくれました。その優しい手つきにまたわたくしは一段と声をあげて泣きました。
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