第3話 手紙
立浪真琴さんへ
お久しぶりです。お元気でしたか?僕はアメリカで元気に頑張っています。
立浪さんに謝りたいことがあります。
僕は、わざと純一の情報を立浪さんに教えていませんでした。
純一はドナーが見つかり、骨髄移植が成功し、その後の副作用で退院できないようです。
純一は立浪さんのことを想っています。
力になってあげてください。
追伸:好きでした。
立花圭一
うすうすは圭一の気持ちに気づいていた。
純一を想う気持ちと同時にあの時見た夕暮れが胸に焼き付いて離れない。
圭ちゃんカラオケ楽しかったよね?わたし悪いことしてないよね?
手紙に涙がポツリと落ちて、手紙のインクがにじんでしまった。
あの日の二人は確かに何物でもない二人だったよね。
二人だけの時間だったよね。
忘れないよ。あの日のことを。
真琴は手紙をカバンの中にしまうとリクルートスーツを身にまとい、都会の喧騒の中に入っていった。
新宿の黄昏はあの日の黄昏と同じだった。
終わり
黄昏 藤間詩織 @reonrie52
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