他人とは違う
白川津 中々
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何かがやはり違っていた。
物心ついた時からあった違和感。周りと噛み合わない感覚。何か認識が、物の見え方が違っていた。他人が良いというものに関心がなく、自分が良いと思ったものは他人に関心がもたれず、意気が投合するような仲間もなく今日まで生きてきたわけであったが、歳をとって世の中がますますくだらなく見えてしまって、やはり自分は他人のようにはできていないのだなと認める事ができた。
他者とは違う。これは優越感、選民意識に浸れるものだがしかし、生活や置かれている状況は大分悪く、また、改善の兆しも見えない。
周りの者は、自分とは違う者たちは苦しみながらも幸せを享受している。親となり子を持ち、働いて金を稼いで、盆や年の瀬にはどこかへ行ったり、高価な食事をしたり、実に、実に豊かな暮らしぶりだ。くだらないと呟きながらも、羨望を抱いてしまう。
もしかしてくだらないのは自分の方ではないのか。
考えたくない仮説が脳裏を駆け巡り目眩を起こす。価値観の反転。自己否定。今更許容などできない。
今、関心のあったものは全て無価値に感じる。新しい興味もまるで惹かれない。他人と違うから、同じじゃないから、何も楽しくないのだ。もう自分には雀躍となるような日々がない。楽しみも喜びもどこかへ消えてしまった。残っているのは世間への懐疑と冷笑ばかりである。
つまらぬ大人になった。
懐疑と冷笑が自身に向けられるようになり、いよいよ末期となる。
末路がどうなるかは知らないが、きっと、くだらない終わり方をするのたろう。自身の死にさえ真っ直ぐに向き合えないまま、一人で……
他人とは違う 白川津 中々 @taka1212384
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