第6話 心躍る方へ
緑の生い茂る森を2人で進む。
「小さい頃さ、よくここらへんを歩いたよね。」
俺は返事をしない。頬を汗が滴り落ちる。
「……。」
「あんときもすぐ帰れたから大丈夫でしょ。」
……俺、そんな記憶ない。
「一華、悪い。」
「………やっぱり?」
そう、俺らは…
「………道、迷った。」
事の発端は1…匹?羽?(単位がわからん。)の蝶。
「あ、ちょうちょ!」
キャンプ場へ向かっている最中、一華はそう叫ぶとちょうちょを追って、森の中へと入って行った。
それが事件の始まりだった。
(ちなみにあとからググったら蝶の単位は頭らしい。そんなの知るかよ。)
「あー!!うりぼー!!!かっわいい!!」
一華の矛先がちょうちょからうり坊に変わった。
俺は一華にカメラを向けた。
「一華、撮るよー。はいチーズ。」
あれ?そういやぁうり坊の親って……
……カシャッ
写真にはイノシシが写ってた。
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!逃げろー!!」
「キャーーーー!!」
「逃げ切った〜!!」
一華は疲れたのか良さげな枝を杖がわりにして歩いていた。
「火沙!知ってた?私実は剣道4段なの!」
そういってブンブン枝を振り回し始めた。
そしてそれは、蜂の巣にクリーンヒットした。
「あ」
「え?」
ボトッ
「………逃げる?」
「それ以外何がある?モンスターボールでゲットするとか?」
「……」
「……」
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っっ!!」
「キャーーーーーーーーーー!!!!」
そしていま。
「やー!疲れたね。アッハハ。」
一華元気そうだな。
「もう1日経過した気分だわ。」
どっから来るんだその元気。
「しかし迷っちまったけどどうする?」
「ん〜今12時半かー。お昼にする?」
「いいね。そうしよう。……あーそれと、」
「ん?」
「………ここで3日間暮らさないか?」
「…へ?」
やっぱ危険だよな。
「ごめん、やっぱなんでも………」
「いいねっ!!」
「えぇっ?!!」
意外な返事に驚愕した。
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