第5話 後悔と罪悪感と今出来る事
僕は大事な友達二人を、見殺しにしたも同然だろう。弱虫だったばかりに二人は行方不明になった。
僕に出来る事は何だったんだろう?僕がやるべき事はあの夜一緒に開かずの森に行く事だったんだ。
後悔した、罪悪感を感じた、悲しくなった、自分が惨めに思えてきた。馬鹿みたいだと自分を罵った。
そんな事をしても何かが変わる訳じゃない。二人が戻って来る訳では無い。僕は決心した。
僕に今出来る事をやり尽くすだけだ。
★
僕も夜中になり、開かずの森へ向かった。
開かずの森は薄気味悪くて、霧が立ち込めていた。二人を探すんだ。僕は勇者の孫なんだ!!僕は二人の友達なんだ!!
開かずの森に入ると、前世の世界でいうカラスみたいな鳥が、鳴いている。それも薄気味悪く聞こえた。
森をズンズン進んでいくと、イノシシみたいな化け物が現れた。
「ファイアーボール」
攻撃する意図はなく、牽制してイノシシが逃げる様に仕向けた。
だが一発では効果がなかったみたいで、もう一発ファイアーボールを繰り出した。
しかしイノシシへ怯える事なく、こちらに向かって突進してきた。
それをギリギリ躱して、サンダーシュートを発動した。
それも攻撃せず、牽制する意図で。こんな無益な争いで命を散らしてはいけない、そう思えたのだ。
イノシシは怯み、そして逃げて行った。はあ〜良かった。僕は一安心した。
森を更に進むと行き止まりになっていた。道を間違えたか?ラグーンとリサベルはどこにいるんだろう?
不安が静寂を包んだ。ざわざわしていた木々も静まり変えった。
何かが近づいてくる?一体何が?
「おい、そこの坊主」
僕はびっくりして、大声を出してしまっていた。
誰だ?後ろを振り返ると一人の老人が居た。
「お前、あの二人の知り合いのアレンか?」
多分あの二人と言うのは、ラグーンとリサベルの事だろう。
「こっちに付いて来い」
そう言われて、その老人に付いて行く事にした。しかし疑問がある。
「あのう、すいませんけど、二人は無事ですか?」
「ああ無事だ。魔物避けの結界の張った家にいるよ」
多分森が静まり変えったのは、魔物避けの結界のせいだろう。でも二人が無事で良かった。
次の更新予定
転生勇者戦記 勇者の孫が世界を救う 神谷大輝 @tadagenbu
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