第5話 後悔と罪悪感と今出来る事

僕は大事な友達二人を、見殺しにしたも同然だろう。弱虫だったばかりに二人は行方不明になった。


僕に出来る事は何だったんだろう?僕がやるべき事はあの夜一緒に開かずの森に行く事だったんだ。


後悔した、罪悪感を感じた、悲しくなった、自分が惨めに思えてきた。馬鹿みたいだと自分を罵った。


そんな事をしても何かが変わる訳じゃない。二人が戻って来る訳では無い。僕は決心した。


僕に今出来る事をやり尽くすだけだ。



僕も夜中になり、開かずの森へ向かった。


開かずの森は薄気味悪くて、霧が立ち込めていた。二人を探すんだ。僕は勇者の孫なんだ!!僕は二人の友達なんだ!!


開かずの森に入ると、前世の世界でいうカラスみたいな鳥が、鳴いている。それも薄気味悪く聞こえた。


森をズンズン進んでいくと、イノシシみたいな化け物が現れた。


「ファイアーボール」


攻撃する意図はなく、牽制してイノシシが逃げる様に仕向けた。


だが一発では効果がなかったみたいで、もう一発ファイアーボールを繰り出した。


しかしイノシシへ怯える事なく、こちらに向かって突進してきた。


それをギリギリ躱して、サンダーシュートを発動した。


それも攻撃せず、牽制する意図で。こんな無益な争いで命を散らしてはいけない、そう思えたのだ。


イノシシは怯み、そして逃げて行った。はあ〜良かった。僕は一安心した。


森を更に進むと行き止まりになっていた。道を間違えたか?ラグーンとリサベルはどこにいるんだろう?


不安が静寂を包んだ。ざわざわしていた木々も静まり変えった。


何かが近づいてくる?一体何が?


「おい、そこの坊主」


僕はびっくりして、大声を出してしまっていた。

誰だ?後ろを振り返ると一人の老人が居た。


「お前、あの二人の知り合いのアレンか?」


多分あの二人と言うのは、ラグーンとリサベルの事だろう。


「こっちに付いて来い」


そう言われて、その老人に付いて行く事にした。しかし疑問がある。


「あのう、すいませんけど、二人は無事ですか?」


「ああ無事だ。魔物避けの結界の張った家にいるよ」


多分森が静まり変えったのは、魔物避けの結界のせいだろう。でも二人が無事で良かった。

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2024年10月2日 06:00
2024年10月2日 07:00

転生勇者戦記 勇者の孫が世界を救う 神谷大輝 @tadagenbu

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