古都を舞台にした仙姿玉質とした世界です

 京都という町の不思議で非日常な美しい世界に見せられた主人公は、様々な事情を抱え、葛藤を持つこともありながら、まるで魅入られたように街をレンズの中に宝物のようにと舞った街の欠片を集めてゆきます。
 そして刹那的に出会ったあの一瞬の出会い……。

 ひとつひとつの言葉にまるでなにか特別なものが込められたような輝きを持つ文体で表現されたお話は、彼の地を訪れたときの思い出を振り返りながら、あるいは想像をしつつ、ああ、感性とはなんと大切な物だろうと思わせてくれます。

 主人公と出会ったあの人の運命はどこへゆくのか……彼らはどうなってゆくのか……。
 願わくば彼等に幸せが訪れんことを……古都を舞台とした美しい物語です。

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