エピローグ (3)

 興奮に目元が赤く染ったのが、紅花を塗った化粧の様で、懐かしくて愛おしい。

 目を閉じる。二百年、愛してくれた人が抱きしめてくれた。

 

 一気に全てが弛緩する。

 身体がベタベタだ。力が入らない。

 ティッシュを何枚か引き抜く音がして、俺の身体から佐伯が出ていくと同時に、とろりと液体が漏れた。

 ゴム、使わなかったなあ。

 それも早々に拭われて、他の汚れた所も拭いてくれているみたいだ。

 俺も何かしなきゃかなあ、でも力が入らない。

「ねえ……」

「いいよ、寝てな」

 そっか、俺のお役目じゃないから、……お役目……眠い……

「……凄い気持ちよかった、あと凄い可愛かった……ありがとう、優希」

「……おやくめ、じゃなくても……してくれる……?」

 よしよしと頭を撫でられる。気持ちいい。

「……お役目なんかもう無いんだよ。またいっぱいしような」

 佐伯の声は、目を閉じで聴くとやっぱり啓秀に似てる。抱き締めてくれるその腕は、きっと二人分の愛情が詰まってる。

「うん、いっぱいする」

 俺は安心して、そのまま眠ってしまった。

 大丈夫、これからはずっと一緒だ。

 


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かみさまのかるた 縦縞ヨリ @sayoritatejima

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