17も31も憧れだった。


 アイスクリームと聞いて浮かぶ数字といえば、17と31だろう。
 国民的な知名度を誇る両者だが、そのあり方は対照的と言ってもよい。

 アイスを頬張るあなたに贈る、つめたくてタメになるエッセイ。



 子供の頃に通ったスイミングスクールの前に、17の自販機があった。お小遣いがなかった自分はそれはそれは憧れて、送迎バスの中、買ってる坊やを羨ましく見つめたものだった。

 17はアイスクリームの自販機という発想もさることながら、ワクワクを与えるデザインも、人気の秘訣のような気がする。
 鮮やかなカラーリング、各アイスの見た目と概要、愛嬌のある17君(仮)に惹きつけられる。自販機とは思えない素敵さだ。

 25メートルを泳ぎきった日、ごほうびということで一度だけアイスを買う機会を得た。
 悩みに悩んで選んだのはグレープのやつだった。
 レイピアみたいなプラのアイス棒が妙に気に入って、長い間コレクションしていた。

 31に関しては成人後、「三段重ねのアイスが食べたい」という母と自分の利害が一致し、こちらも一度だけお世話になった。
 何味を選んだかすら覚えていないが、ディッシャーでアイスをかき集める店員の手捌きだけは不思議と思い出せる。



 17と31。
 異なる道を歩き、ともに地位を築いている。その関係性には少しほっこりする。

 これからも多くの生活を引き立てる名脇役として、どこかにひょっこり現れて欲しいと思う。

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